物知り博士と資料保存の話

幼いころ、学校には必ず『物知り博士』とか『雑学王』なんて呼ばれた奴がいたと思う。ご多分に漏れず私もそうだった。まあ、そういうタイプは、オタクになるか学問の道に進むかのどっちかが多いと思う。

とはいえ、このご時世インターネットで、雑学を仕入れるのは以前よりかなり容易になった。いわゆる『物知り博士』の需要は恐ろしく低くなった。多分以前よりも物知り博士は減ってきているんじゃないだろうか(そのかわり、昔じゃありえないハードコアな人も生まれているのも確かだろう)。 問題は、ネットにはない古い資料や、当時の人には当たり前すぎて、頭の中にしか入ってないような、大切だったけど必要が無くなった知識の類は手に入らないことだろう。これから必要とされるスキルは、表には出てこない資料を探し出すことになってくる。

案外知られていないけど、別に言わなくても特別問題になるようなことではない事というのは、案外残らない。スラングばっかの2ch用語だって、20年もしたら、当時の子供で、その時の世相を知らない大人が読んだら、大意を摑めなくなってしまうのと同じだ。

古道具とかだって、本体が残っているのに取扱説明書が残っていないから、間違った使い方をしてしまい、結果的に破壊してしまったりしてしまう例がある。使っている当時の人間を含め、みんな本体を重要と思って、そう言ったものを残さないのだ。取扱説明書や商品の入っていた箱を捨ててしまえば、使い方のわからないガラクタしか残らないことになる。まあ、大半は使えなくなったら捨てられる運命だから仕方のないことかもしれない。

でも、勘違いかなとか、正しいか確実でないぼんやりした知識をデータでも、文字でも何でもいいから生活の知恵から、身の周りの大したことのないものも、無理にとは言わないから、どんな形であれ、きれいに整理整頓して残しておこう、という心掛けをほんの少しでいいから頭の中に入れておいてほしい。

もしかしたら、未来の『物知り博士』が取りに来たり探しに来るかもしれないからね。そうしたら貴方は過去と未来を結ぶ伝道者になれるかもしれない。実際、後世になってからでないと、何が必要になるかはわからないんだから。