オタクが食事管理と筋トレでダイエットした話
友人のくらむさんが『【趣味】オタクが食事制限でダイエットした話』というブロマガ記事を書いたので便乗です。とりあえず一年続けたので現時点での成果みたいな感じの記録を書いてみました。
ダイエットを始めた理由は色々あるんですが、何かに集中して打ち込みたかったのと自分のライフスタイルをリセットさせたかったってのが大きかった感じですね。
■スペック
年齢:三十代前半
身長:169cm
体重:83.9kg(一年前)→73.6kg(2020年8月9日)
体脂肪率:28.9%(一年前)→21.4%(2020年8月9日)
骨格:肩幅若干広め
■目標
腹筋にシックスパックをつくる
標準体重まで体重を落とす。
■方針
筋トレをベースにしてダイエットを考える。
無茶はしない、急激なカロリー制限はしない。食事は三食ちゃんと取る。
間食はなるべくしない。するにしてもプロテインバーやナッツ、栄養補助を目的としたものを食べる。
糖分の入った飲料はなるべく取らない。甘いものを飲みたい場合はゼロキロカロリー飲料か人工甘味料を添加する。
ジャンク、ハイカロリーなものを食べた場合、一週間の摂取カロリーで調整する。
■したこと
・一ヶ月目
食事方針:低脂肪高タンパク、中炭水化物(カロリー計算なし)
運動:4分バーピー、1kgダンベルx2→2Lペットボトルx2
四月に仕事を辞め無職だったので、最初に見たのがメンタリストDaigoの『1日4分でモテる体型をつくる科学 〜魅力の70%を決める正しい筋肉の付け方』。そこから4分バーピーを始め、その後、筋トレ系Youtuberの動画を見ながらできることを始める。さらに『ダンベル何キロ持てる?』を4話頃から見始め、1話から見直す。外国人トレーナーJaxBladeの解説動画なんかも一緒に見る。家にあったダンベル1kgを使いダンベル運動を始めるが、すぐに物足りなくなって2Lペットボトルにフルに水を入れ(2kgx2)ダンベル代わりにする。プロテインは1年前に買ったソイプロテイン(味無し)を無脂肪乳に混ぜて飲んでいた。カロリー制限はやってなかったので今思えば3000kcalは取っていたと思う。それでも1ヶ月1kgは減ったので、運動経験ゼロ故の何をやっても上手くいく状態だったのだろう。
・二ヶ月-三ヶ月目
食事方針:低脂肪高タンパク、中炭水化物(カロリー計算なし)
運動:ハンドグリップ20kg、3kgダンベルx2→可変ダンベル25kgx2購入、アブローラー
とりあえず筋トレは続ける。負荷が物足りなくなったのでダンベル3kgとハンドグリップを購入。最初は筋肉痛を起こしたが、すぐに慣れ効かなくなってしまった。とりあえずバーピーと合わせ、できるダンベル運動を一通りやるようになった。どうにかソイプロテインを消費し、始めて味付きのプロテインをAmazon.com(米国)でBNSの『Syntha-6 Whey Protein Powder, Cold Stone Creamery- Mint Mint Chocolate Chocolate Cake Flavor』を購入。味付きに感動する。そして、ネットで初心者は可変ダンベル買うと後々の筋トレが捗ると言うことで可変ダンベルとアブローラーを増税前に購入。体重は2kg減、筋肉が付いたように感じる。
・四ヶ月ー八ヶ月目
食事方針:低脂肪高タンパク、中炭水化物(たまに間食を入れるが2000kcalを目安に食事を意識する)
運動:腕立て、アブローラー、ダンベルプレス、独房式腹筋燃焼サーキットを一日ごとにやる。
再就職が決まり、生活の変化がおこる。しかし残業量が減ったおかげで、毎日30分のトレーニング時間が確保できるようになる。昼食は弁当を自分で作り持参、700kcalを目安にする。ヨガマットを買い、ルーティンでメニューをこなす。その間家のボイラーが壊れ約二週間銭湯通いになり、トレーニングの時間がとれなくなったり、コミケ原稿やるために、ダーティーな間食があったりする。冬頃から、朝食をオートミールに切り替える。そして体重が80kgになった時点で、体重が増えもしないし減りもしない、停滞期が起こる。ただトレーニングは続ける。コミケで新刊の入った段ボール持っても辛くなくなったので、かなり筋力が付いたのを実感。
プロテインは脂肪燃焼作用のある『Muscletech, Nitro Tech Ripped』、BCAAは『EVLution Nutrition, BCAAリーンエナジー チェリーライムエード』を常用する(時々別なのも買ったが)
・九ヶ月ー一年
食事方針:成人男性の基礎代謝2200kcal±200kcal、栄養バランスを整える食事。
運動:腕立て伏せ30回x3セット、アブローラー立ちコロ20x2セット、膝コロ20回、ダンベル(ハンマーカール)13.5kg→16kg 20回x3セットを基本セット+スクワット、ダンベルカール8kg、独房式腹筋サーキットを追加で加えたり加えなかったり。
体重が減らないことにどうしたものかなと思い、筋肉が十分に付いてきたので、一旦今までの食事からプロテインを抜くことにする。そして弁当箱を一回り小さくし一食600kcalで食事を組み立てる。
あるときYoutubeでルイボスさんの激やせ動画を見て、何をしていたのかを解説する動画で『あすけん』というアプリを知る。そこからあすけんを使い食事管理を始める。そこでタンパク質の過剰摂取と慢性的なビタミンとカルシウム不足と言うことを知り、足りない栄養素を整えるような食事に変更する。そしたら今までの停滞が嘘だったかのように月2kgのペースで一気に体重が減リ続けるムーブに入った。コロナのおかげて、外食も殆ど無く、筋トレに時間を費やせた部分も多いこともあるが、三ヶ月で6kg痩せる。
現在に至る。
■最後に
正直なところダイエットはまだ中盤です。10kgほど減量しましたが、やっと肥満から軽度肥満のラインまで落ちたと言ったところです。筋肉も増やしたから、見た目そこまで太っている印象じゃなくなりましたが、まだ先は長いかな。ただ10kg減量したという事実は動かしようのない事実ではあるので、自信を持ってもいいのかなって気はしますが、それに甘えてもいけないなとも感じてます。まだシックスパックもできてないですし。
人それぞれ、自分に合ったダイエット法というのはありますんで、鵜呑みにせず参考程度に思ってくれたらありがたいです。ただ、単純に食事制限するよりは、基礎代謝分の栄養摂取に栄養バランスのとれた食事と運動をすれば確実に痩せられると言うのが実感としてあります。
食事に関しては、脂肪や糖質を減らしながら栄養価の高い食事をすると、それなりに量を摂取しないといけないので、満足感を得ながらの食事は可能。菓子パンとかラーメンとかお菓子、ジュース類はカロリー濃縮されてますから、それ避けるか、半分から1/3に減らすだけでもかなり違うので、砂糖や油を抜いても美味しい物を見つけるのも大事かなぁ。
甘い物摂取するにしても人工甘味料やお菓子状に加工してあるサプリメント(ビタミンゼリーやグミ、カルシウムウェハース、プロテインバー、BCAAドリンク、プロテインシェイク)なんかも強い味方になってくれます。
ダイエットは継続と主体性、自分のペースにあったやり方で辛くない程度に続けるのが一番です。楽しんでやりましょう。
コミケ97 脱稿&参加のお知らせコミケ97 脱稿&参加のお知らせ
みなさま、ご無沙汰しておりますしーざーです。ここ数ヶ月ネット上ではエッセイも、表だった活動も何もしていな買ったんですけど、まあ生きていました。とりあえず、十月に転職成功し労働時間の短縮と、心の余裕のようなものが出来て、下半期は自尊心と自己肯定感を高めることが出来、筋トレを始めて、そこそこ効果が出てきて楽しくなったりと、結構充実した日々を送れています。まあそんな前置きは良いとして……
新刊入稿しました。おかげさまで後はイベントを待つのみと言う状況で、ちゃんと印刷できているだろうか、とちょっと不安だったり。というのはあるんですが、形には出来たので一安心。まだスペース設営の準備が出来てないのですが、今週中に色々調達しながら当日に挑もうと思います。
今回は、久しぶりのハードボイルド系ヒーローです。タイトルは
『ザ・ハートレス:絶望の哀歌(The Heartless: Elegy of Despair)』
以前書いたThe Smokeと世界観を共有した、The Smokeよりも未来のお話です。詳しくは下の方にあるあらすじを参照していただければ。今回は本文80ページ。三万字ちょっとの中編小説になっており、小説読み慣れない人にも読みやすいボリューム感になっているのでは無いでしょうか。
イラストはakira.l.u(@akira_l_u)さんにお願いしました。いかに表紙と裏表紙とサンプルを載せておきます。
あらすじ
極東自治区――ここは先の大戦により、亡命した外国人の特別居住区として生まれた地域だ。そのために犯罪や法で裁けないトラブルが多く、昔から自警活動が一般化していた。
この街を代表する自警員(ヴィジランテ)は数年前に姿を消していた。ヒーロー不在の中でも、いろいろなヴィジランテたちの活躍のおかげで、この街の自警活動の灯火は消えることはなかった。
ある日何者かによって、とあるヴィジランテがビルの屋上から吊されるという事件が起こり、そこから連鎖するようにヴィジランテが襲われ始めた。その事件を追いかけるのは、
純白のスーツにフェドーラ帽、パウダー・ブルーのシャツにチェリーレッドのネクタイ。ドミノマスクをまとった男。彼は自らを、こう名乗った。ハートレス――人でなし――と……。
そんな中、彼を追いかける女が一人、彼に立ちはだかる。アンダーマインと呼ばれるその女はハートレスを罠にかけハートレスを追い詰める……
今回ブックデザインはアメコミ+海外のハードボイルドペーパーバックスを意識して作ってみました。基本的にデザインと本文書体には凝る方なのですが、今回は本文は版面のバランスを以前よりも整え、表紙はクールでチープな感じに仕上げてあります。今回はかなりカッコよく仕上がっているので、オブジェ代わりに購入するってのもありだと思います。
頒布価格は500円。今まで新刊を500円出だしたことは無かったんですが、今回はキリのいい値段にして、どれだけ頒布数に影響するのか、ちょっと気になって原価ギリギリではあるのですがトライしてみようという感じです。値付けって難しいですよね。安くしすぎると、質の悪さや、自信のなさの表れ妥当ケトル人もいるし、高くしても手に取ってもらえるとは限らない。程よく収益がでる適切なラインというのをうまく探らないとサークルとしても長続き出来ないし、モチベーションも下がる。難しいところでまいかいの悩みどころ。ただ、割とうちのサークルは堅実で安定感はあると思っているのでそこまで、原価にて数量上乗せしたくらいの値付けしてれば気を遣わなくてもいいのかなとも思ったり思わなかったり。
また、前の短編集『慈悲のない不思議の国』を思い切って、プロデザイナーのPOO松本さんがやっている C96 DOUJINSHI DESIGN REVIEW & ADVICE二参戦したところ、思っていた以上の好意的評価を頂き(下の画像参照)、今までにやってきたことが無駄じゃなかったと言う自信がついたのもあります。
やっぱり自分を知らない、第三者の外部的評価ってのは大事なんだなとつくづく感じさせられました。たとえ、売り上げとかにそこまで響かなくてもこのまま続けていけば、何かを得られるかもしれない希望のような、なんとも言えない手応えのような者を感じることが出来たので、これからはもっと広いアプローチを考えています。まだ自分に何が出来るのかは。わからないけど面白いことはやりたいので、これからの十年は攻めていくつもりです。
今回の『ザ・ハートレス:絶望の哀歌』短いのにしっかりした読み応えのある、チープだけどリッチな作品に仕上がっているので、コミケ二日目に足を運びになる方は是非MOZA MOZAのスペースにお立ち寄りください。
新刊、既刊共に用意してお待ちしております。
12月29日(日)コミックマーケット97 西B-66 MOZA MOZA へ、是非立ち寄ってください。遠方の方には書店委託と自家通販も用意する予定なので少々お待ちください。それでは!
C96お疲れさまです!(+今後の予定と委託について)
どうも、お久しぶりです!
コミケ96お疲れさまでした。三日目は色々と大変だった感じですがとりあえず新刊発行できました。ありがとうございました。
コミケに来られなかった人も8/25 (日) Comita 129 Q21a MOZA MOZA でも頒布しますので、よろしければ足を運んでみてください。お待ちしております。
また、メロンブックスで委託もはじまっております。都内のイベントに行けない遠方の方は若干お高くはなりますが、こちらから購入できます。
どんな感じの本なのかイメージしやすい用に動画も用意してみましたので、是非お買い求めください。買ってくれるとマジ助かります。損はさせない出来だけは保証します。どうぞよしなに!
C96新刊『慈悲のない不思議の国』収録作品紹介
ポスターも入稿が終わり、後はスペースレイアウト用の小物と、在庫をどれだけ持ってくるかと言った準備になってきました。ここまであっという間と言う感じで、気持ち的にちょっと焦る感じはあります。今回、初めてB6サイズと言う版型のソフトカバー巻きの本を作ったので、印刷にどう出るかとか当日までわからないのが懸念材料* ですが……
(* 同人印刷では完成原稿が基本であり、格安で小ロット印刷する関係上、束見本もなければ色校もない。校正、校閲などは行わず一発勝負なのである。)
実は本文を書いているときより、本をデザインしている方が好きだったりします(といってもセンスがあるわけではないんですけどね)。でも、同人誌って、自分の好きなようにデザインできるじゃないですか、本文書体を枝んだり、文字組みを考えたり、本文用紙を選んだりって。そのチャンスを与えられたなら、最大限発揮する、それに虚を実に変える感じがして、現実との接点を作れるっていいじゃないですか。
読書は快楽だと思っているので、なるべく負担をかけず、でも出来上がったものを引っかかるように、どういった質感、雰囲気で提供できるか。って、わりかし大事なんじゃないかなあ? 紙の質感、本の匂いといった意図しない付帯要素も人によっては読書体験とリンクするので手は抜きたくない。
前置きが長くなりましたが、新刊紹介です。
コミックマーケット96 三日目 西 B-15b MOZA MOZA にて初頒布
タイトルは『慈悲のない不思議の国』頒価は1,500円(イベント価格)
表紙イラストは akira. l. u さんです。
通販は在庫に余裕があるようなら自家通販を行いますので、コミケに来られない遠方の方は、後日通知しますのでお待ちを。
今回は自分が今まで書いてきた短篇をかき集めた短篇集となっています。以下からサンプルと解説になります。
以下から本文サンプルになります本文は書籍用のクリーム系嵩高用紙使ってるので、本で見たときと若干印象が異なるとは思いますがご了承ください。
1.液体少女(リキッド・ガール)
オープニングタイトルとなる『液体少女』はサイバーパンクSFテイストな世界を舞台に。とある男の逃避行が描かれる。
2.慈悲のない不思議の国
今回の表題作。『液体少女』のラストからつながる物語。アサクラ・リンと名乗るものから、指示された場所で、主人公は依頼を受ける……。
3.わたしには得ることの出来ない何か
MOZA MOZAの処女作タイトルを加筆訂正の上で短篇化。しばらくの間、入手不可能だった第一作を今回掲載しました。拙さのある作品ではありますが楽しんでいただければ。
4.あるべき時、あるべき場所で
『あるべき時時、あるべき場所で――同一プロットアンソロジー』(発行MOZA MOZA)のために作られた一篇。超能力者と魔法使いの現代異能。
5.すべての失われた魂
『赤い風――スチームパンク・アンソロジー』(発行 姫制服)収録の一篇。「赤い風」と言う現象により文明がゆっくりと崩壊していく中で生きる人々の姿を描く作品。
6.もう、今はここにいないあなた
『赤い風』による文明崩壊後をカナモジ文で表現することでディストピア感を出したSFテイストな作品。現代文との対訳付きなので言語的差異も楽しめる一作。
7.月夜の君の物語
『源氏物語』と、東方綺譚の『源氏の君の最後の恋』に影響され、平安ファンタジー的な作品にチャレンジしたのがこの一作。文章をシェヘラザード宜しく、語り部が語るかのような文体を意識した。
8.The Smoke 第一話 プレリュード・アンド・ノクターンズ
第一巻が売り切れてしまい、読めなくなっていた MOZA MOZA 最大のヒット作であるThe Smokeシリーズの一話を収録。仮面をまとったハードボイルド。スーパーヒーローの人気作!
2008-2019年までのMOZA MOZAの初期から現在までの短篇小説8篇を収録した短篇集となっております。ご興味のある方は是非コミケのスペースへ来ていただけると嬉しいです。
夏コミ新刊入稿しました!
どうもお久しぶり? です。コミケ96合わせの新刊。どうにか入稿終わりました。印刷所からデータ不備の連絡がなければ新刊出ます! スペースは、三日目西B-15b MOZA MOZA です。興味があればお立ち寄りください。
新刊は短編小説集『慈悲のない不思議の国』
B6サイズ200ページ(表紙除く)ソフトカバー
表紙はこんな感じで、こんかいは短篇集。B6サイズのソフトカバーです。普段はA5のペーパーバックなのですが、最近版型小さくして一般書籍に寄せるのもアリかなと思ってチャレンジしました。後で本文サンプルも載せておきます。
今回は2008年から2019年までの短篇8作を収録して、とりあえず今までやってきたことの集大成とまでは行きませんがまとめみたいな感じに仕上がってます。今は入稿終わって、疲れているので、詳細はまた後日。
源氏物語を読むのに適したタイミングなんてあるのだろうか?
三十代に入ってから、源氏物語を齧るようになった。とはいえ、これでも日本文学科卒業なので(でも専門は日本語学)、学生時代に日本文学購読やら、日本語学演習と言った授業で、ちょっとは触れてたり、源氏物語の同人ゲーム作っていた友人がいたりと言う感じで知識は全くのゼロではないが、興味は薄かった。
ただ、去年の正月あたりから、源氏物語くらい頭に入れとかないとなというのと、もともと自分自身は海外文学読みであることもあり、日本文学関係には興味なかったのだけれど翻訳者とかの情報を仕入れるうちに、日本語訳者だけでなく日本文学の外国語翻訳者なんかの知識がついてきていたので、翻訳される日本文学から、訳者をさかのぼっていくうちに源氏物語に巡りついた感じだ。
最初は、著名な外国人日本文学研究家、ジャパノロジスト、日本文学翻訳者のエッセイや日本文学翻訳関係の資料を漁りつつ、大和和紀のマンガ『あさきゆめみし』を電子書籍でまとめ買いし、大まかなストーリーラインを頭に入れ、やる夫で学ぶシリーズの『やる夫が光源氏になりたまふなり』のまとめを読んだり(読んでくうちに大学時代にすでに目を通していたことを思い出した!)して、少しづつセットアップしていくことにした。
(写真:我が家の源氏物語関連本)
その後は、とりあえず読みやすいと言われるアーサー・ウェイリー訳の重訳(佐復 秀樹訳 平凡社ライブラリー版)を集め、その後もう一つのウェイリー訳(毬矢まりえ・森山恵 姉妹訳 左右社版)もその時、ちょうど出たばっかりなので集め、それと同時に英訳版ロイヤル・タイラー訳(ペンギンクラシック・デラックス・エディション→ヴァイキング・ペンギンハードカバー版に買い直し)とデニス・ウォッシュバーン訳ハードカバーを買う。
そうこうしているうちに、仕事で全く手を付けられなくなり、翌年退職することになる。その際に色々と資料を買い集め、英訳版もエドワード・サイデンステッカー訳のハードカバーとアーサー・ウェイリーのタトル社版二巻本ペーパーバックと合本版ハードカバー(George Allen & Unwin社 合本版 Third impression 流石に一番最初の六巻本は集められなかった)を手に入れたりして物だけ揃え始め、パラパラと目を通しておくうちに、読み物として左右社のアーサー・ウェイリーの重訳版を読みつつ(仕事を辞める頃には三巻まで出ていた)、リファレンスとして今泉忠義訳の講談社学術文庫版(主観が薄く癖がない、原文を逐語訳っぽく訳してある――面白いわけではない)と平凡社ライブラリー版(差異の確認のため)を使いながら読んでいる最中である。
まるで、構成の写本をいくつも集め、その異相を調べるような読み方に近い。正直なところ現代語訳というのはそれぞれの訳者の解釈が入ってしまうものだと思うので、自分が読みやすいと思った訳者を選ぶのもいいかなと最初は思ったのだけれど、とりあえず読み通さないと話しにならないということでウェイリー訳を読み通すつもりだ。
研究をしてしまうと、人生を捧げなくてはいけなくなるので、残念ながらそこまではしないつもりである。ただ、オタク体質なので、どういう方向に行ってしまうかはまだわからない。なお、源氏が終わったら次は平家物語でも読もうと思っている。
それでもやっぱり本が好き (①ペーパーバック)
地元の本屋行くと人はいないは棚はスカスカ、どこにでもある有名作家の本の上澄みばかりで欲しい本は無いわで、ぶっちゃけ地方の新刊書店なんかより、偏りあれどブックオフのほうが種類あるよね……ってのが現状なわけで本読む人間から見ると悲しくはなるよね。思うところは色々あるけど。それでもやっぱり、本屋があればふらりと足を運んでしまうのだから、自分は根っからの本好きである。
さて、ナンバリングをしたこともあり、数回に分けて、本のことについて語ろうと思う。語るったって大したものではない。出版論とか、本とはどうあるべきかなんて小難しいことは語るつもりはない。ふんわりと本っていいよね的なことを語るだけである。今回は洋書のペーパーバックについて語りたいと思う。知らない人向けに説明すると、ペーパーバックというのは簡単にいうと、カバーの付いていない本で、質のあまり良くない紙(学術書など例外あり)に印刷された簡易製本の本の事。日本で言うところのコンビニコミックの装丁を想像してもらえればいい。
話は遡ること2004年(もう15年前だ!)高校二年の頃である。友人と一緒に某泣きゲー原作のオタクアニメを観るために池袋まで出て(そのころはまだシネマコンプレックス的な劇場が一般的ではなく、埼玉県民である自分がオタク向けアニメ映画を観るには東京の映画館へ行く必要があった)その帰りに今は無き新栄堂書店池袋本店に寄ったことが事の始まりだった。
村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のトレード・ペーパーバックを洋書売り場で見たのが最初だった。当時は洋書のことなど何も知らず、知識もなかった。初めての印象は「軽っ!」という印象と、本文がわら半紙のような更紙で、本ってこんなカジュアルでいいんだというポジティブな衝撃だった。他にもダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』やらジョン・グリシャム『最後の陪審員』の米国版マス・マーケット・ペーパーバックもあった気がする。英米のペーパーバックのチープでタイトルのタイポグラフィがケバケバしくドーンとなっているようなセンスが刺激的だった。ラノベならまだしも当時の一般書籍なんて抽象的でアーティスティックだったや新書などのフォーマットが決まっていたものばかりだったんで、すごく色鮮やかだったり、クールに見えたのだと思う。
特に村上春樹の英語版はモノトーンに、赤の差し色のデザインやロゴのカリグラフィーとタイポグラフィーで統一されててすごくオシャレに感じた(図1)。しばらく前に英国版のカバーは変わってしまったが自分はやっぱりこのカバーがしっくり来る。とはいえ社会人になってお金の自由が利く頃にはカバーが変わってしまったので集めるに苦労した。
(図1 村上春樹の英国版ペーパーバックとハードカバー2000年代中盤から後半にかけて)
自分でも同人誌を作るようになってから、この大らかな本の考え方はそれなりに自分の創作の血肉になってくれたように思う。本文用紙の選び方、レイアウトの方法、本文組みなどに影響を受けた。同人活動を始めるにあたって、単純に文章を書くだけでなくでデザインもすることがPC上で簡単になったので、野良DTPなりに大いに参考にした部分が多い。
どうしても、文庫本や文字モノの日本の書籍などはDTPに完全移行する前ということもあり、フォーマットが決まっていたので、洋書のような、作品によって、書体やページインテリア・レイアウトがデザイナーによって個別にレイアウトされるというのにも影響を受けた部分だ。なにより、同人誌の並製本スタイルがほぼペーパーバックのスタイルに応用可能だったということもある。
(図2 拙作の同人誌 その1)
(図3 筆者が参加したり、デザインした同人誌アンソロジー)
(図4 拙作の同人誌より 文字組み例 ドロップキャップや見出し等のレイアウトは洋書のデザインを参考にした)
2000年代中盤から2010年代前半は個人的にペーパーバックデザインの当たり年、つまり自分の好みにあったデザインが多く出たのだ。英国版のレイモンド・チャンドラーの『フィリップ・マーロウ』シリーズ、ビビッドカラーにタイトルの意味の漢字を配置した吉本ばななの英国版ペーパーバック、米国版の『マルティン・ベック』シリーズ、コミックだと『ウォッチメン』やチップ・キッドがデザインした『シン・シティ』や『バットマン: ダークナイト・リターンズ』版が変わって見かけないのもあれば、まだ普通に手に入るものもあるが、すごい刺激を受けたのは確かだ。
(図5 英国版レイモンド・チャンドラーの旧版ペーパーバック 最近になってモノクロ写真に黄色地のものに変わってしまい在庫切れになる前に急いで買い集めた)
(図6 吉本ばななの英国版ペーパーバック キッチンの表紙は既に新しいものに変わってしまった!)
こういうのを見ていると、本というのはいい作品を更に複合的な要素で魅力的に見せる事かもしれないなと思うのである。ペーパーバックだから強度なんか無いし真面目に読んだら背割れして何度か読み返すとボロボロである。でも、このスタイルはサラリと読むのには向いている(とはいえ、自分が英語で読み切ったのは、村上春樹Alfred Birnbaum訳のHard-Boiled Wonderland and the End of the Worldくらいなのだが……)。
でも、個人的にペーパーバックのチープなスタイルというのは気に入っている。気に入った作品は、ハードカバーで買い直しておく(ペーパーバックが出る頃には、ハードカバー版絶版という事態もあるけど)という事もあっていいと思う。
大半の本が、一、二度読んでおしまいだったりするし。そういう意味でもペーパーバックのあり方というのは好きなのだ。
日本の安い文庫本は、質が良すぎるというか作られた発想が真逆で、読み捨てというよりも日本の小さな家の中に置いておくのに適した形だし、文庫化されることが永く読まれる名作の形、みたいな印象もあるのでそれはそれでいいんだけど。カジュアルないわゆる『読み捨て』に近いアプローチの本ではないよなあ。ってのが自分の中にある。
それが良いか悪いかは置いといて、読書って、もっとカジュアルに自然にやるもんじゃないの? というのが持論である。だからといって馬鹿に迎合しろと言うつもりも毛頭ない。どちらかというと、必要なのはいろいろ娯楽がある中で、どうやって日常の中に読書を浸透させるかというライフスタイルの問題だし、濃くて内容のある本をいかに手に取りやすい形に持っていくかというようなことが重要だと思っている。個人的には洋書のペーパーバックのような本のあり方というのは、本のあり方としていいな、と思うのだ。隣の芝は青く見えるだけかもしれないが。
1989年がもう30年前という事実について
多分それは自分が昭和62(1987)年生まれってのも関係しているとは思う。流石に昭和から平成への改元の記憶はないんだけど、『生まれは昭和、育ちは平成』という世代で、小学校に入ったのがまだ平成一桁だったのも理由の一つだと思う。
正直言うと2000年代の中盤辺り(というか、大学生ごろ)から今の2019年に現在に至るまでの感覚は『超最近』って感じがします。10年で大きく変わってはいるんですけど、その変化の流れを明確に追えているという部分からもそう感じちゃうのかもしれないし、特別思い入れのある出来事がないだけかもしれない。
社会人になってからは、仕事のことをこなすだけで、周囲の変化に疎くなったのもあると思う(昔より改善されたとはいえ、まだ働き方が改善されていると言えるのは大手とか、一部の先進的な企業だけだし)。流石に2000年代初頭のカルチャーは古臭くなってきたとはいえ、中盤―後半あたりだと「何だ、まだ最近じゃん」って気がするのだ。まだスマホはなかったけど。
でも、それは自分が歳をとったということでもあるのだと思う。自分ももう31であり、家庭を持っている人もいれば、そこそこの地位で思いっきり稼いでいる人もいるし、自分みたいに、一旦仕事を辞めて身の振り方を考えている人もいる。
もう大学生だって2000代生まれがいるわけで、その世代たちには90年代には生まれていないし、もうピンとこないはずだ。そう思うと、平成も昔になったのだなあ……と、感慨に耽けずにはいられない。
きっと、過去の世代がそうだったように自分たちもそうやって、ゆっくりと歳を重ねていくんだろう。何はともあれ、令和の時代もとてもいい時代になることをささやかながら願っている。
【講座】同人小説の作り方【第五回:ページ構成の基礎知識】
ページ構成の基礎知識
さて、今回は、意外と盲点なページ構成について。思った以上に同人作家さんが気にしていないのが本の構成だったりします。商業本では扉(タイトルページ:著者名・出版社名の書いてあるページ)が必須だったりするのですが、同人誌とかだと、すっ飛ばして1ページ目を本文開始にしちゃったり……もちろんそれは予算とページの都合もあるのですが、本という形にするにはなんか勿体無いなという気もするんです。
いくら、情熱をそのまま打ち込んでも、読者に受けいら得られるわけではないし、ただテキストを流し込んだだけでは読みづらい。まあ、本が現在の構成になったのも紆余曲折が合ってのことだとは思うのですが、スタンダードなフォーマットが出来上がっているわけですし、この現代社会においてはそれに乗っかっちゃったほうが良いと思います。まあ結局は最後は自分自身の判断ですし、理由があればフォーマットを崩したって構わないのであくまでも、これは知識として入れておいてほしいな、と思っています。
いくら絶世の美男/美女だって、バカだとちょっとゴメンナサイと断る人がいるように、ちょっとした教養とか、わかっているな。と思われるのと高感度上がるのと一緒で、ある場面では、書籍の構成を守ることは購入の際の決断の重要ポイントになったりとかあるので、守って損はないと思うのです。前置きはここらへんで、では本題へ行きましょう。
1.和書の構成
本の構成というのは国ごとにローカルルールが合って日本の本では、最初のページは扉から始まります。扉というのはタイトルページのこと、題名、作者名、発行元といった最低限の基本情報が入っています。
同人誌においては、個人的にあまり他人の本はうるさく言わないタイプではあるのだが、これだけは苦言を呈したい
漫画の場合雑誌形式でなれているからさほど違和感を感じないけど、文字物は感じ方に個人差はあれど、あったほうが良いです。文字物は表紙めくって、一気に本文だったら自分の場合は面食って、ちょっとなぁ……っておもうわけです。
真面目にやったら以下の図のように本は組まれる。
(図1:ページ構成略図)
上の図のように大仰ではなくても、一般的に販売されている小説本だと一般的には以下の図のようになります。
(図2:小説本構成略図)
【参考:ケン・ブルーエン『ロンドン・ブールヴァ―ド』(訳 鈴木 恵 新潮文庫 2009)】(図3:扉)
(図4:中扉)
(図5:章扉)
(図6:本文)
この写真の本文は、単純にテキストを流し込んだだけといった、一般的な本文です。
文庫はあまり本文にデザイン性を求められないことが多いので、本文レイアウトを考える場合なるべくハードカバーの単行本をチェックしてみることをオススメします。(あまり日本の書籍はページデザインが凝った書籍はあまりないかもしれませんが)
【参考2】参照
(図7:奥付)
【参考2:章題ページを独立させたもの 『真夜中の雨』(自作同人誌 作:ロナルド始澤 イラスト:伊崎美悦 ストーリーアシスタント Q式, MOZA MOZA, 2016)より】
(図8:章題ページ例)
自作同人誌を使った例で恐縮ですが、やり方によっては章題の見出しを独立したデザインにするという手もあるわけです。視線誘導のためにドロップキャップ(段落最初の文字を大きくして食い込ませる方法)をやったりと、あまり日本の書籍ではやらない方法ではあるのですが、ちょっと小洒落た雰囲気を出したい場合、章題のあるページのデザインを考えてもいいと思います。
(図9:本文ページ)
2.洋書の構成
洋書だけでなく学術書とか、お固めの本では、洋書特に英文書籍の構成に則っている場合もあります。ここではあくまでも参考のために載せておきます。
英文書籍の特徴は、ページ構成については形式的でかなりお堅いルールに則って作られるという特徴があります。どんな書籍でも特に前扉、扉だけは形式的に守られている形です。少し前までライトノベルのような扉の前に四ページのカラーページとかもってのほかといった感じでした(そういう場合、対処として特典として、巻末に持ってこられるとかの例があります "The Melancholy of Haruhi Suzumiya"シリーズなど)。ただその割に、デザインとかの面では自由度が高い印象です。
【参考:"Wind/Pinball Two Novels" Haruki Murakami, Trans. Ted Goossen Harvill Sucker, 2015】
図10:前扉
図11:著作リスト、本扉
図12:前付け、序文
序文は本文とは別扱いなので、ページは別ノンブルを降ってあります。
図13:序文、中扉
図14:本文
【参考:The Penguin Book of Japanese Short Stories】
図15:前扉
図16:本扉
(図17:前付け、目次)
この例だと目次から別ノンブルで前付けの一部と言う扱いです
(図18:本文)
前付けが多いと何十ページもあるローマ数字のページのあとに、本文ページが1から始まるということもあります。
同人誌なんで、そこまで語っ苦しくページ構成のルールに縛られる必要はないですし、予算によってはページ削らなきゃいけない状況もあるわけで、大切なのは自分の本の中で、本の体裁を維持しつつ必定じゃない部分を上手に削っていくことを覚えてください。
最終的には、作者のどういう本を作りたいかにかかっているんですが、いい本というのは多かれ少なかれ読者にも意識が向いていると個人的には考えます。
別に読者のことを気にしなくても、どう読まれたいかと言う気持ちがあれば、段々と、文章や本、そういったことの見(魅)せ方というものは定まってくると思います。どんな形であれ、完成させたものは、着実に力になると思うので、それを更に良くするためにも同人作家さんたちにはいい本を作って欲しい。
主観的な意味で完璧な本なんて誰にも作れない、だからこそマイナスポイントになるものは〆切という限られた時間の中で潰していくことはちょっとしたことだけど大きな差になる場合がある。ページ構成もそのうちの要素の一つだと心に留めておくと、何年かあとまた違った風景が見えてくるかもしれない。
簡単にまとめてしまえば、簡単に行ってしまえば同人誌を作っているひとは、自分の好きな本屋良く読む本画どういう構成で、どういったようにできているか観察すること。意外と面白いよ!
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自分なりの小説同人誌の凝り方
【講座】同人小説の作り方 【第四回:Wordで入稿データ作成】
どうもお久しぶりです。今回でこの講座も第四回になりました。いつの魔にか年明けてて、今年で同人歴十年になってたり、色々悲しいことも嬉しいこともあったりで怒涛の毎日です。
さて、今回はWordで入稿原稿を作る方法です。
個人的には、本気で小説同人やりたいならAdobe InDesign今すぐ導入しろ! っていっちゃうんですが(段階的に一太郎とか、その他単体フォントちまちま導入する手間と時間考えるとすっ飛ばしたほうが、コストもその後の成長も半端ないので)、学生とかお金ないから、できる道具で限界までって感じで当時のノウハウを交えながらやっていきます(でも十年前よりもDTP環境激安だよ! Adobeのソフトにに5-10万円かからないし、フォントも学割聞くし、今から文章系同人やる学生は恵まれてるんだよ!)。十年前の知識だから改善されているところもあるけれど、変わらないところも多いので、自分のできる範囲でやっていきます。若干Dirty Hackなやり方も出てきますがご容赦を。
自分はとある入稿トラブル(後述)でWord原稿づくり辞めたんですが、そこを外せばちゃんと入稿原稿作れますんでやっていきましょう。
え、Wordで入稿のための原稿なんてできるの? って方もいると思いますが、
結論:できます。
PDFにして、フォントちゃんと埋め込んで印刷所にもってけば理論上可能。(ただしAdobe純正データではないので、時々エラーを吐くのでそのリスクに負けない強靭な心が必要)
この原稿は最終的にこうなりました。
本文はこんな感じです。当時は時間だけはあったからこんな無茶ができたんだと思います。表紙以外、原稿全部Wordで組んだんだぜ、無茶だよ無茶! でもな入稿するときフォントが埋め込まれてなくて危うく頓挫しかけたんだ。フォントの知識もPDFの知識もなくてな。
という事でそんな過去の失敗から、後進を救うためにもちょっとだけ肌を脱ぎます。もっと話を聞きたきゃ、自己責任でイベントで顔見知りになるか、Twitterとかネット上で交流を持つかしてください。ここでのコメでもこたえられる範囲なら答えるよ!
■Wordで本を作るポイント
基本的には、作りたい本の等倍サイズで用紙設定して。余白を縦横上下1センチ以上取ってください。あとはレイアウト調整で。ギチギチorスカスカにならないように行間と字間を整えましょう。
というかWordで原稿を作る場合一番の問題はルビ降ったときに行間が広がってしまうことくらいで、それ以外は割とどうにでもなってしまう問題だと思います。なので今回の講座では重要だと思う三点に絞って説明します。
- ルビで行間が広がってしまう対処法。
- P(プロポーショナル)フォントは縦組みには使わない。
- PDF書き出しの注意点
1.ルビで行間が広がってしまう対処法。
Wordでマジな文章を作る方がぶち当たるのがこの問題。気持ち悪いですね。行間広げるつもりないのに広がってしまうというこの状態。
本文全てを選択します
〔段落〕→〔インデントと行間幅〕で行間を固定値にしましょう。行間は本文フォントのポイント+50-80%くらいにしておくとルビも入ります。
そうすればこの通り。行間が一定になります。ルビは半分消えているような表示になっていますがちゃんと印刷には反映されるので問題ありません。
若干ルビの位置が右に寄りすぎると感じる人は、ルビのかかっている文字を数ポイント縮小してください。
そうするとオフセット値が数ポイント出てくるので、それをゼロにして、
縮小した文字を拡大すれば。ちょっとだけ左に寄ります。縮小値の際のルビの位置にして文字だけ大きくするという邪道な行為ではありますが、Wordがもともと日本語には向いていないワープロソフトなので、仕方のない感じです。
とりあえず、これだけできれば、同人文字下記の鬱陶しい問題の半分以上は解決するかと思われます。
2. P(プロポーショナル)フォントは縦組みには使わない。
下の画像を比較してみましょう。違いが判るでしょうか?
MS P 明朝で組んだもの。
MS 明朝で組んだものとMS P 明朝で組んだものだと時間が詰まったように感じると思います。それはプロポーショナルフォントによるものです。
(リコーのサイトより引用)
欧文の場合、等幅で組むと文字の隙間が空きすぎてしまいます。そのため、字間調整が必要になってくるわけです。それを和文にも応用したのがMS P 明朝などの和文プロポーショナルフォントです。本来にほんごは正方形に作られ正方形に組むようにできているので、プロポーショナルで組むと縦組みは寸詰まりのようになってしまいます(横組みの場合はさほど問題になることはない)。なので、どんなにページ数文字数が逼迫しても使わないようにしましょう。事故の元です。
縦組みはマス目に組むようにすることを意識しておくと、そこまで大きな問題にはなりません。
あと文字で問題になるようなとこだと半角数字を盾に組み込みたいときは〔横中横〕使えってくらいですかね?
3. PDF書き出しの注意点
まず、PDFというものは印刷用のデータを、どのデバイスを遣おうがレイアウトを崩さずに持ち運びができるようにAdobeが作ったフォーマットです。覚えておきましょう。
そのために、PDFにしたデータは改変ができませんし、データの中にフォントファイルを埋め込んだり、画像を埋め込んだりしてイメージした通りの印刷データを作ることが出来るわけです。
Wordでも2003以降から、PDF書き出しが標準装備でついています。
ただし、気を付けないと入稿に向かないデータになって、印刷所から電話が来ることになります。
WordファイルをPDFにするのは簡単〔名前を付けて保存〕→〔ファイルの種類〕→PDF
それで一丁上がり。それだけ? それだけです。ただし注意しないといけないのは、かきあがったPDFにフォントが埋め込まれているか。
確認は簡単にできます。
Adobe Readerで書き出したフォントファイルを開く〔右クリック〕→〔文書のプロパティ〕→〔フォント〕を選ぶと……
このように、埋め込まれているフォントが確認できます。
フォントフォーマットにはWindowsの場合True TypeとOpen Typeがあります。MacにはPostscriptというフォーマットも(詳細はググって)
WordでPDF化する際注意してほしいのはフォントフォーマットがOpen Typeのもの。Open Typeは異体字や色々なものを包括したフォントフォーマットなのですが、Wordファイルで書き出すと埋め込めません。自分の持っているリュウミンなんかはOpen Typeなのですが全然ダメでした。
実際に書き出したファイルのプロパティでもこのような状態。Open Typeフォントは全く出てこない状態です。なのでフォント選びをする際Wordユーザーはここでトラブルになります。
InDesignで作ったファイルだとこのような感じで埋め込まれているのがわかると思います。InDesignとかだと両方埋め込めるし、文字数の関係上同じフォントでもTrue TypeとOpen Typeだったら収録文字数の関係で後者を選びますし、InDesignに少しでも移行する気があればTrue Typeでそろえちゃうとお金の無駄になっちゃうので、本気であればあるほど私はInDesignの導入をお勧めします。
自分も参加予定なのですが、アンソロジーの主宰が参加者を募集しておりここで宣伝させていただきます。もしよろしかったらご参加ください。
特殊な磁場を発生させ、電気製品をダメにしてしまう『赤い風』と呼ばれる風が吹き始めた世界で緩やかに崩壊していく文明とその中で生きていく人々たちを描くスチームパンクちっくな近未来をベースにした小説ベースのアンソロジーです。
画、イラストも募集しています。 現在3枠空いております。少しでも興味があればお声がけください、質問等も受け付けています。詳しくは以下 https://redwind-anthology.blogspot.jp/2018/01/
2018年2月10日募集締め切りです。
【講座】同人小説の作り方【第三回: 文字だけでも雰囲気は作ることが出来る】
文字だけでも雰囲気は作ることができる
お久しぶりです。前回の講座からかなり時間が空いてしまい、楽しみにしてくれた方には申し訳ありません。それでは三回目です。
今回は書体についてです。最近は絶対フォント感なんかという言葉が出てくるくらいフォントが身近になってうれしい限り。自分が学生の頃はあまりそういう話とか、同人界隈でもあまり出てこなかったように思います(女性向けはわかりませんが……)。でも最近は文章系同人でも、書体や、文字組、装丁の認識が以前より上がっているのは確かです。
アメリカなんかでは、ブックページ・インテリアなんて言葉があるくらいページデザインが発展している感じで本文をデザインするインテリア・デザイナーなんてのもいて羨ましい。ここでも、機会があれば一度ページデザインの講座をやってみたいと思います。
では本題へ。まず文字物の同人誌を作る場合三つの書体を用意してください。
- 見出し用の太いフォント
- 本文用のフォント
- 欧文フォント
■書体を選ぶことについて
書体は思っている以上に可読性を左右します。そして、意外と意識されないのが書体から醸し出される雰囲気なんです。まずは下の画像を見てください(クリックで大きくなります)。
同じテキストで種類は違えど明朝体。ポイントも行間おんなじですが、文字から来る印象はかなり違うと思います。片方はオールドスタイル、片方はモダンな明朝体。人によって個人差、好みはあると思いますが読みやすさも違いがあると思います。
どちらかというと画像の左側の方が読みやすいと感じられると思います。左側は縦組みに向いたすらりと細長い書体、かな文字が筆っぽさもあって柔らかく繊細な印象を受けます。
右は横組みに向いた扁平な書体です。右側の書体はフトコロ(空間)が広く取られているせいで人によっては圧迫感やインパクトが強く感じるでしょう。実際行間を広く取らないと読みづらいです。
これだけ見てもわかるように、文字選びは慎重に選ばないと印象が大きく変わってしまいます。一般書籍ではリュウミンが多く使われています。それ以外にも小説を書きたいという人はまずはオールドスタイルの明朝体を中心に探していくといいのではないでしょうか?
ホラーなら擦れや墨溜りのあるクラシックな書体、恋愛小説ならウェイトの細い書体、派手なアクションがあるなら、カクカクした感じの書体みたいに、その物語がどういう雰囲気なのか、どう読んでほしいのかを考えると自然としっくりくると思います。
それでもダメなら書体見本。自分で世の中にはどんな書体があってどうやったら手に入るのかを調べるのも大切です。
■行間には気を付けろ
同人小説をいろいろと買っていると、時々見かけるんですがフォントサイズを7,8ポイントくらいにしちゃって。行間もギリギリでページにギチギチに詰めちゃう人。読みづらいです。いくら情熱を詰め込んでも、印刷費がもったいないからって、これじゃあ読めたもんじゃない。中には行間がほぼゼロみたいなのがあって、いくらルビ降らなくてもこれは無いだろってのも時々あったりします。
商業の文庫本でも今は8.5-9.5ポイントくらいの間になっています。そして何よりも、可読性を左右するのは行間だったりします。まして版型が大きくなれば商業ならB6や四六判でも9ポイントぐらい、A5くらいなら10-12でも問題ないくらいです。
一般的に読みやすいと言われる行間は50-75%の間と言われています。テキストの内容にもよりますが、複雑で難しめのものは広めに行間を取ると理解しやすくなり、逆に読みやすくライトなものほど、行間を狭めたほうが引き締まった印象になるんじゃないでしょうか。
サンプルとして自分で行間を調整した画像を作りましたが、みなさんはどれがお好みでしょう。一応最低限読めるようには調整しましたけども意外と行間って、読みやすさに差が出るのに気にされないところなんですけどね。
文庫本は行間50%ぐらいが多いので、画像の真ん中の文字組が読みやすい人も多いと思います。自分なんかは最近文庫本をよむと疲れてきてしまうので、行間は広めの方が好みです(広すぎるとマヌケですけど)。
行間は狭くても読みやすそうに見えるのですが、どんなに健康な人間でも、読んでいるうちに疲労が起こりますから、気持ち広めに作った方が後々疲れないです。
■見出しと本文
最初に三つの書体を用意しろと言いました。それは、使用用途がそれぞれに違うからです。
- 見出しは目を引き付ける為、太い書体。
- 本文は長く読んでも疲れない細めな書体。
- 欧文書体は、アルファベットを綺麗に見せるため。
以上の目的で三つが必要になってきます。それ以上になると、版面がうるさくなるのであくまでも三つに絞りましょう(特殊な場面を描きたい場合はこの通りでなくてもよい)。もしちょっとしたアクセントが欲しいならあと一書体足してもいいと思います。
また、文章内での連続性を重視するなら、見出しと本文のフォントを同じにしてもかまいませんが、画面や、場面のメリハリをつけるなら、違いをくっきりさせた方がいいと考えます。
見出しと本文の例を画像にしたので、確認してみてください。書いてある例文はそのまま説明になっております。
それと、見出し3.はダメな例なので、意図してあえて外したデザインをする場合以外はやらない方が賢明です。
それ以外にも見出しの扱い方はブックデザインを大きく左右しますから。テキスト主体なのか、デザイン主体なのかで、ちょっと変わってきます。今回はテキスト主体として考えていますので、見出し1. 見出し2.のように考えていただければいいかなと思います。
■欧文書体と和文書体
デザイン性の高い同人誌作っているなと思う人でも、やってしまうのが和文付属の欧文書体を使ってしまう事。何が悪いのかわからない? 制作者の意図が違うんですよ。あくまでも和文付属の書体は和文と合わせるためであって、欧文書体の文字デザインルールから外れていることが多いんですよ。詳しくは下の画像をご覧ください。
欧文書体については以下の本を参考にするといいですよ、基礎知識をつけるならマジおすすめ。
文字を選ぶだけで、グッとデザインは引き締まります。同人なんだし自己満足でいいじゃないですか。できる範囲の知識、予算、ツールで最大限のものを出力する。たとえ、粗削りでもつたなくても自分で満足できればいいじゃないですか。
人を楽しませることも大切だけど、自分の気持ちを盛り上げないと、人に楽しさを伝える前に情熱が醒めていってしまいます。自分のやりたいことを忘れない事。これが創作の第一歩。
次回はまたいつになるかわかりませんけど、入稿用のデータ原稿の作り方をやりたいですね。それではまた次回。
【講座】同人小説の作り方【第二回】
何を守って、何を崩すか
この講座も、どうにか第二回目です。
同人誌を作るにあたって大切なのはまず『どんな本を作るか』ってことです。特に小説本は文字だけしかありません。一ページの文字組や余白などのページデザイン(版面:はんづら)や表紙を作るなどちょっと、今までは文章だけあればどうにかなったのも、ここではさらに別のスキルが必要になってきます。自分の描いた文章を本の形で表現したいという欲望がなく文章を書ければ十分なら、公募に出した方がいいかもしれません。
以前に比べたらかなり減ってはいるのですが、まだ世の中の同人小説の半数(もしくはそれ以上)はワープロソフトで単純に文字だけ流し込んだだけのものを本にしたものが多いです。ノンブル(ページ番号)を振る、文字も小さめ、行間もギチギチ。自分なんかは勿体ないなと思ってしまいます。
そうなる理由は学生や、非正規でお金がなく、印刷費を浮かせたいとか、ジャンルによってはギチギチに文字を詰めないとボッタクリに思われるだの、DTPソフトを持っていないとか装丁やデザイン、版面にこだわっていないなど、色々あるのですが、自分から言わせてもらえば、たとえDTPソフトがなくても、ワープロソフトでもきれいで読みやすい原稿は作れるよ? と思うわけです。
昔に比べて、印刷費も、DTP環境も良くなっているんだから読みやすい――誰かに読んでもらうための――原稿をつくるべきじゃないかなと思うわけです。今は技術の進歩で、お金さえ出せば商業本以上の本は作れる時代です。逆に商業の本の方が、予算と売り上げの関係で紙で冒険できなくなっている時代です。だったら逆手に取るくらいの気概があったっていいじゃないですか。
■本を作るために意識した方がいいこと
意外と文章同人で意識されていないなと思うのは、最初の一ページ目から本文が始まってしまう本が結構見受けられるという事、一応、本の構成は和書と洋書でちょっとした違いはあるのですがこういうような順番でページは組まれています。
・和書の構成
- 扉(タイトルページ)
- 口絵
- 献辞
- 序文(まえがき、はしがき)
- 凡例(図版目次を次に入れる場合もある)
- 目次
- 図版目次
- 中扉
- 本文
- 付録
- 索引または後書き
- 後書きまたは索引
- 奥付
・洋書の構成太字にしてあるのは、小説本で必要となる最低限の構成要素です。それ以外は省略しても大丈夫な部分です。洋書は参考までに。
I. 前付けII. 本文
- 前扉
- 口絵
- 扉
- 出版履歴、書誌項目、著作権
- 献辞
- 謝辞
- 目次
- 図版目次
- まえがき
- 序文
- 中扉
III. 後付け
- 付録
- あとがき
- 著者注
- 語彙解説
- 参考文献
- 索引
■版面を意識する
あなたの持っている商業本(なるべく文庫本以外)をよく見てください。思っているよりも余白は広く取られていると思います。行間もルビを入れても若干余裕があるくらいには開いています。文字というのはギチギチに詰め込んだり、余白が狭いと可読性が下がるからです。本よいくつかピックアップしてみると分かるのですがある一定の傾向が見受けられると思います。
天(上部)より地(下部)の余白の方が広いとか、ノンブルや柱の本文にはある程度の距離があるとか……。意外とルールに沿って組まれていることがわかります。
今回は自分のサークルの本『真夜中の雨』の版面を参考に、余白についての解説です(上の図を参照していただければ。クリックで拡大)。余白に関してはウィリアムモリスの法則というものがあります。本来は市のための組み方ではあるのですが、西洋組版などでは意識されているルールです。
うちのサークルでは完全に守っているわけではなく、和文と縦組みにしたときに読みやすくなるように調整しています。うちのサークルの本は地の余白はそこまで広く取ってはいません。ノドに対し1.5前後の比率になるように納めています。本によっては天と地は同じ広さにしてあるのもあります。
個人的な意見ですが最低でも一センチは余白をとってほしいと思います(厚さによってはそれ以上)。実際に本を開いてみると分かるのですが、ノド付近は紙を曲げることになるため、そこそこの広さがないと可読性が著しく落ちます。上の図では判読が困難になる部分をグレーにしています。
小口に関しても本を読む際に親指を乗せても本文に被らない位の余白があるとベター。
ついでに今回文庫本を参考から外しているのは、特に最近の文庫本は本の最低限の機能だけを持たせているので、狭いスペースに文字を詰め込んだり、余白を過剰に狭くしたり、行間を狭めたりしているので、参考にするのはお勧めしません(昔のはまだいいです、ただ文字が小さすぎるという難点が)。制約が多すぎて、慣れないうちは重大なエラーを起こしやすいです。
最初のうちは大きめの版面で、色々試してみるといいでしょう。納得のいく版面というのはなかなかできません。基本はトライ・アンド・エラーの繰り返しです。
■本のデザインは物語の雰囲気を作る
文章が上手いからって、小説本は読んでもらえるとは限りません。ただ単純に文字を並べただけというのは、ただそこに文章が存在するだけで、意識的に読もうとしない限り、特別な理由がないと読んでもらえないものです。
良い本のデザインというのはこの本がどんな物語なのか、明るいのか、暗いのか、重いのか、軽いのか……etc. という印象を増幅させることができます。それでも同じように作ったはずなのに違いが出るそれはどういうことなのか。こう考えるといいでしょう。
どんなものにも適材適所はある。コーヒーを飲むのに茶道の茶器は不適切なように、本も同じでデザインからにじみ出る雰囲気というのがあります。それに関しては装丁について話す際にもう少し詳しくやりますが、当たり前のことから雰囲気というのは作られます。
読みやすい版面を作って、書体を選び、表紙をデザインしていくと本の雰囲気というのが出てきます。ちょっとした味付けの違いが劇的な違いを生むのです。次回は本文と書体について語っていこうと思います。
ついた餅より心持ち。
仕事の繁忙期も落ち着き、気持ちの余裕が出てきた。本当に年始から年度末は仕事でおかしなことになっていた。迷惑もかけた。
ここ最近やっと、元通りというわけではないけれど、どうにかなってきたので、すこしずつでも調子を戻していきたい。リハビリじゃないけど、自分のペースで少しずつ。
ブロマガも、ここ数年御無沙汰だ。転職してから、仕事量は右肩上がりで、創作はどうにかやっていたがエッセイ的な自己表現は出来なくなっていた。忙しさの波に流され、自分のペースを維持できなくなってしまっていた。
何をすればいいか、何が適切かは解らないけれど、それでも元気になってきたので、自分のペースでやりたいことをやる。自分らしい表現は何なのかを忘れてしまっていた気がするので。結局は自分がどういうことをしたいかに尽きると思う。
『ついた餅より心持ち』なんて言葉もありますが、気の持ちようで行動も変わってければというのが理想かな。
しばらくは創作をやりつつ、自分のペースで更新できるブロマガで何かエッセイでも月一か、隔週くらいでやってきたいかなと思います。段階的にSNSとかも復活させていければなとおもいます。
P.S. スタバのアメリカンチェリーパイフラペチーノはチェリーの味がしっかりしていておいしかったです。パイクラストはクランチみたいに振りかけた方が良かったんじゃないかなって気はする。
あまり絡まず、しばらくは現状報告的な使い方をする予定。
https://friends.nico/@Ronald_SHIZAWA
【講座】同人小説の作り方【第一回】
第一回
この講座は小説の書き方ではありません。悪しからず。
■イントロダクション
はじめましての人も久しぶりの人もこんにちは。しーざーです。簡単な自己紹介をすると同人サークル "MOZA MOZA" の代表であり文章担当(個人サークルなのでイラスト以外のすべてをやっています)、いつの間にか同人活動も今年で九年目に入ります。普段は残業多くておまけにワープアな教育関係の仕事をしていますが、将来的には物を書きながら暮らしたいという夢は持って生活をしています。最近仕事が忙しくなってから、ちゃんとしたブロマガ記事を書くのが久しぶりなのでどうなるかわからないですけど、やれるところまでやっていくつもりです。
この講座は小説同人誌の作り方を中心に行います。他の同人ノウハウ系講座よりも、本の制作という観点を重視しています。なので、制作スケジュールの組み方、色々な段取りのようなものはそこまで扱いませんご了承下さい。
公開はなるべく定期的になるように書きためたものを公開設定で、決まった時間に出せればと考えていますが、あまり期待しないでください。
対象としては、小説は書けるけど、本の作り方はよくわからない人向けもしくは小説同人誌作ったけど、今一つ上手くいかないという創作者向け、初心者よりは中級者以上の講座として考えています。
元々は別の目的の為にまとめて置いたのですが、その目的が達成させられるかわからなくなったので、腐らせるくらいなら必要としている人のために公開しておこうと思った次第です。これを読めば、他人の手を借りなくても一通りのことは出来る位に持って行くのがこの講座の行動目標です。
具体的なカリキュラム及びシラバスは用意していないのですが、
と言った流れで6~12回位のスパンでやっていこうと思います。
- 心構えと準備
- 版面や文字組の重要性と装丁――商業の本を意識する理由
- 書体について
- ワードでの原稿の作り方
- インデザインでの原稿の作り方
- 表紙について――イラストを依頼する
- 入稿準備から入稿まで
■心構え
「同人誌なんて作れない、ちゃんとしたものを書けたら本にしよう」その時点で貴方の作品が同人小説になる実現可能性は大幅に下がります。すでにまとめた原稿があるなら、それを本にすることを考えましょう。いいのが書けたらなんていっても、結局次がいいかはわからないし、評価は他人が決めることなので自分が上手く入ったと思っても反応はいまいちだったり、酷評食らってダメージ食らったりというのは日常茶飯事です。
不安は誰にもあるものです、日常生活のストレスや、ちょっとしたことで不安は加速して、おかしな行動をとってしまう事だってあります。自信がないうちはメンタル的な不安が倍になったり累乗みたいに急加速だってあります。
まずは腹をくくれ。ダメなときは何やってもダメだし、上手くいくときは上手くいく。ただダメが異常に続くときは、アプローチやメンタリティ、それか根本に原因があるのでそこを探して改善しましょう。
必要なのは本を作りたいという気持ち、読んでもらいたいという欲求。自分は描けるんだという自信。小さじ一杯や結晶一つくらいの少量でもあれば大丈夫、それだけでゼロの人よりはマシです。心配しないでやりましょう。同人活動は、思っている以上に参入障壁は死ぬほど低いです。
腹をくくったら、参加するイベントを決めましょう、慣れないうちは半年から一年後位のイベントに照準を絞りましょう。もうまとまった原稿が出来ているなら(予定のボリュームの半分から本一冊分くらい)、もうちょっと早めても大丈夫です。
とりあえず、まずは本にすることを考えましょう。本を作ると決まったら、まずどんな本にするかをデザインしていく事になります。
それについてはまた次回。バイバイ! sayonara! アスタラビスタ!