【講座】同人小説の作り方【第五回:ページ構成の基礎知識】

第五回
ページ構成の基礎知識

どうもお久しぶりです、仕事に追われて時間がなかったせいもあって、恐ろしく時間が空いてしまいました。申し訳ないというかなんというか。でも、普通に働くって会社によって結構拘束時間すごいですよね、社会人と同人両立できるひとは恐ろしい。

さて、今回は、意外と盲点なページ構成について。思った以上に同人作家さんが気にしていないのが本の構成だったりします。商業本では扉(タイトルページ:著者名・出版社名の書いてあるページ)が必須だったりするのですが、同人誌とかだと、すっ飛ばして1ページ目を本文開始にしちゃったり……もちろんそれは予算とページの都合もあるのですが、本という形にするにはなんか勿体無いなという気もするんです


いくら、情熱をそのまま打ち込んでも、読者に受けいら得られるわけではないし、ただテキストを流し込んだだけでは読みづらい。まあ、本が現在の構成になったのも紆余曲折が合ってのことだとは思うのですが、スタンダードなフォーマットが出来上がっているわけですし、この現代社会においてはそれに乗っかっちゃったほうが良いと思います。まあ結局は最後は自分自身の判断ですし、理由があればフォーマットを崩したって構わないのであくまでも、これは知識として入れておいてほしいな、と思っています。

いくら絶世の美男/美女だって、バカだとちょっとゴメンナサイと断る人がいるように、ちょっとした教養とか、わかっているな。と思われるのと高感度上がるのと一緒で、ある場面では、書籍の構成を守ることは購入の際の決断の重要ポイントになったりとかあるので、守って損はないと思うのです。前置きはここらへんで、では本題へ行きましょう。

1.和書の構成
 本の構成というのは国ごとにローカルルールが合って日本の本では、最初のページは扉から始まります。扉というのはタイトルページのこと、題名、作者名、発行元といった最低限の基本情報が入っています。

同人誌においては、個人的にあまり他人の本はうるさく言わないタイプではあるのだが、これだけは苦言を呈したい

悪いことは言わない扉はつけておけ。

漫画の場合雑誌形式でなれているからさほど違和感を感じないけど、文字物は感じ方に個人差はあれど、あったほうが良いです。文字物は表紙めくって、一気に本文だったら自分の場合は面食って、ちょっとなぁ……っておもうわけです。

真面目にやったら以下の図のように本は組まれる。

(図1:ページ構成略図)

上の図のように大仰ではなくても、一般的に販売されている小説本だと一般的には以下の図のようになります。

(図2:小説本構成略図)
【参考:ケン・ブルーエン『ロンドン・ブールヴァ―ド』(訳 鈴木 恵 新潮文庫 2009)】(図3:扉)

(図4:中扉)

(図5:章扉)

(図6:本文)
この写真の本文は、単純にテキストを流し込んだだけといった、一般的な本文です。

文庫はあまり本文にデザイン性を求められないことが多いので、本文レイアウトを考える場合なるべくハードカバーの単行本をチェックしてみることをオススメします。(あまり日本の書籍はページデザインが凝った書籍はあまりないかもしれませんが)
【参考2】参照
(図7:奥付)

【参考2:章題ページを独立させたもの 『真夜中の雨』(自作同人誌 作:ロナルド始澤 イラスト:伊崎美悦 ストーリーアシスタント Q式, MOZA MOZA, 2016)より】


(図8:章題ページ例)
自作同人誌を使った例で恐縮ですが、やり方によっては章題の見出しを独立したデザインにするという手もあるわけです。視線誘導のためにドロップキャップ(段落最初の文字を大きくして食い込ませる方法)をやったりと、あまり日本の書籍ではやらない方法ではあるのですが、ちょっと小洒落た雰囲気を出したい場合、章題のあるページのデザインを考えてもいいと思います。

(図9:本文ページ)

2.洋書の構成
洋書だけでなく学術書とか、お固めの本では、洋書特に英文書籍の構成に則っている場合もあります。ここではあくまでも参考のために載せておきます。
英文書籍の特徴は、ページ構成については形式的でかなりお堅いルールに則って作られるという特徴があります。どんな書籍でも特に前扉、扉だけは形式的に守られている形です。少し前までライトノベルのような扉の前に四ページのカラーページとかもってのほかといった感じでした(そういう場合、対処として特典として、巻末に持ってこられるとかの例があります "The Melancholy of Haruhi Suzumiya"シリーズなど)。ただその割に、デザインとかの面では自由度が高い印象です。


【参考:"Wind/Pinball Two Novels" Haruki Murakami, Trans. Ted Goossen Harvill Sucker, 2015】
図10:前扉

図11:著作リスト、本扉

図12:前付け、序文
序文は本文とは別扱いなので、ページは別ノンブルを降ってあります。

図13:序文、中扉

図14:本文

【参考:The Penguin Book of Japanese Short Stories】
図15:前扉

図16:本扉

(図17:前付け、目次)
この例だと目次から別ノンブルで前付けの一部と言う扱いです

(図18:本文)
前付けが多いと何十ページもあるローマ数字のページのあとに、本文ページが1から始まるということもあります。
***

同人誌なんで、そこまで語っ苦しくページ構成のルールに縛られる必要はないですし、予算によってはページ削らなきゃいけない状況もあるわけで、大切なのは自分の本の中で、本の体裁を維持しつつ必定じゃない部分を上手に削っていくことを覚えてください。

最終的には、作者のどういう本を作りたいかにかかっているんですが、いい本というのは多かれ少なかれ読者にも意識が向いていると個人的には考えます。

別に読者のことを気にしなくても、どう読まれたいかと言う気持ちがあれば、段々と、文章や本、そういったことの見(魅)せ方というものは定まってくると思います。どんな形であれ、完成させたものは、着実に力になると思うので、それを更に良くするためにも同人作家さんたちにはいい本を作って欲しい。

主観的な意味で完璧な本なんて誰にも作れない、だからこそマイナスポイントになるものは〆切という限られた時間の中で潰していくことはちょっとしたことだけど大きな差になる場合がある。ページ構成もそのうちの要素の一つだと心に留めておくと、何年かあとまた違った風景が見えてくるかもしれない。

簡単にまとめてしまえば、簡単に行ってしまえば同人誌を作っているひとは、自分の好きな本屋良く読む本画どういう構成で、どういったようにできているか観察すること。意外と面白いよ!

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