ドーナツとコーヒーの話


ドーナツが好きだ。でも劇的に好きではない。でもときどき無性に喰いたくなる。

こいつの問題点を挙げれば油で揚げてあることだろうか。二個もパクついだら揚げ油のせいでで気持ち悪くなるのだ。あんなものを一ダースも一度に喰えるのは、どうかしていると思ってしまうのだが、大好きな人は大丈夫なんでしょうね。アメリカのポリスメンみたいに。

ミスタードーナツとかだと、ミスドビッツなる小さなドーナツの詰め合わせが売っているのだが、残念ながら私は口当たりの軽いクリスピー・クリーム派なのだ。だから、一つの商品でいくつもの味を楽しむなんてそんな贅沢なことはできない。オリジナル・グレーズドや、チョコレートグレーズドを一個か二個ほど頂けば満足。たまにフレンチ・クルーラーも食べる。

これぞ数百円で手に入れられる天国だと思う。ひとくち口に含むと、柔らかい生地がほどけてほんのりと生地の香りと甘みが広がって……嗚呼、絶頂。

そして欠かせちゃいけないのはコーヒーですよ。コーヒー。ドーナツの場合はホットがよろしい。そして、ひとくち齧った位のドーナツをコーヒーにDunk。これぞ、ドーナツ屋でのコーヒーの楽しみ方。個人的なこだわりはないので、ブラックだろうが、ミルク入ってようが、エスプレッソだろうがラテだろうが取り合えず浸す。

問題は浸す時間。浸し過ぎるとドーナツが口に入れる前に崩れる。これは1930年代のスクリュー・ボール・コメディ(ロマンティック・コメディの一種)『或る夜の出来事 (It Happened One Night)』にも朝食にドーナツを食べるシーンがあるのだが、そこでは

「さっとつけて、さっと食べる。それがコツだ。つけ過ぎると解ける
といっている。『或る夜の出来事は』既に日本での著作権が切れているので、500円DVDで手に入るしニコ動でも見ることが出来る。今のラブコメの源流みたいなものだから一度通してみてみるといい。

ドーナツには浸し過ぎてないか確認する目と1,2秒以内に口に入れるという高等テクニックが必要なのだ。ある意味ドーナツの食べ方は芸術なのだ。

朝早くにドーナツ屋かベーカリーで、新聞や小説片手にしながら。わざとらしくドヤ顔でミルクの泡が少しのったラテを啜りながらドーナツを朝食代わりに頂きたいものです。

なぜか寒い時期に私はドーナツを食べたくなります。きっと冷えた体がドーナツのハイカロリーが求めるのでしょう。ドーナツっていいですよね。