センスの問題

創作やっていると、なんでこの人は気付かないんだろうとか逆にこの人は何でこんなことをすぐに気づけるんだろう? っていうのは一度や二度じゃなく、何回も遭遇します。それが上手く回ればそれがセンスかもしれないし、うまくいかなければ客観性のなさと言われるんだろうとは思います。

ただ、こだわりがあるってことは、創作において自分が何かに引っかかった部分(フック)があるわけで、そこが他人のものであれ、自分のものであれ魅力になる部分に気が付いている部分なんじゃないかな? 同じ文字を書いても、絶対に筆跡が同じようにならないように、ちょっとした事だけど、その人にしかない物それがセンスなんじゃないだろうか。

大体、どんな人も平均レベルまでは行けると思うんですよ。自分だってセンスも才能も糞も無い人間だけど、同人誌くらいは作れるようになったわけで、ある程度の資本投資とまとまった時間と継続的な訓練は必要ですが、ちゃんと建前としての基本ルールをなぞっていけば、それなりのものは出来ます。そこにたどり着くまでの時間の幅が違うだけで。そこを超えたところから、センスとテクニックがモノを言う世界――クリエーターとしてのスタートラインに立てる気がします。

自分のまわりのすごい奴って、意識高いんじゃなくて、今ある既存の物を超えてやろうっていう野心もしくは反骨精神、またはポジティブなスタンスで今ある物をこうすればすごく面白くなるんじゃない? 的な大まかに二種類がある気がするんですよね。気の持ち方はそれぞれ違うけど、方向性は同じ的な感じ。自分のペースでやるか、誰かにケツ叩かれながらやるかの違いとかも無きにしも非ずかもだけど。

あとセンスのいい奴は、割と先行作品の読み込みが半端ないです。アンタどんだけ引き出しあんだよってくらい、自分で入手できる資料に目を通しています。何というか、嫌い、苦手なもの以外、興味はなくても目だけは通しておくというような感じ。だから創作やりたい人には、リラックスして、心を許している状態で今までどんなものに目を触れて、どんなものが好きかを聞くだけである程度の素質的なものは判断つくと思います。(例外的に、ふとしたきっかけで、資料を貪るようになるやつもいます)

センスのいい奴は、難しいことを苦にせず、さらりとこなしやがります。鍛えてないのに。一体どこで鍛えたんだよってくらい上手く。人間には得手不得手、個体差がありますから努力じゃどうにもならないこともあるんです。みんな違うんだからしゃぁなし!

素直さって必要。純粋に受け止めすぎたり人を疑わなさすぎるのも問題だけど。言われたことをちゃんとこなしたり、約束をちゃんと守ったり、どうしてもわからないことを尋ねたり……。

そういうのをこなしているだけで自己判断で進めるか、伺いを立てるかべきかの判断がつく気がする。先回りというか、コレコレこうしたら、こう返ってくるというパターン認知が出来るようになるしね。センスが無くても、数こなして身につけられる部分だってある。

ただ、甘えがあったり、人を舐めているような態度ってどんなに体裁整えても、そういった創作に対する態度って露骨に制作物に滲み出てくる。自分の作ったものに自分は気付かないけど結構滲み出ているからね。それだけは心にとどめておかないと、痛い目に合うよ。ホント。マジ。他人の創作物に対する扱いやリスペクトがないと独り善がりになって自滅するからそこだけは要注意。

他人と比較したり、意識したり、第三者の目を通すっていることは道しるべの様なもので、ルートを外れたり、努力の方向が間違った時に、間違いを正す目印なんだと思う。そうはいっても、最初のうちはそういう、アドバイスをくれる人が皆無だし探し出すのも一苦労だから、ある程度タフなサバイバルが必要なんだけどね。

仕事なら、戦略的にワザと六十点取って、別の仕事でリカバーして総合点を高めていく必要が避けられない場面があったり、理不尽でも割り切って進めなければならないことも多いけど、趣味なら自分の判断でどうにでもできるわけだし。

だから本気で全部を絞り出す感じで創作やるのも悪くないよ。

趣味でゆるくやるのもわるくないけどね。