電子書籍の憂鬱

学生時代からメディアとしての電子書籍って興味を持ってたけど。実際Kindle Paperwhiteを使うようになってからは、まだまだメディアとしてはイマイチかなと感じています。それでも、他の人よりかはガンガン使ってますけどね。
 私も同人誌を電子書籍化しようと考えていたんですけどe-pubのフォーマットだと版面のデザインや文字組み、フォント指定なんかの文章デザインの面で、まだ不満があるので、うちの同人誌はしばらく電書化は見送っています。
 本の形にはこだわってないんですが、電書化するなら電書なりに読者に気を使いたい。
 それならInDesignで組んだ奴をPDFに変換した奴を売ったほうが、フォントも文字組も自分の意図したものだし、文句は無いんだけどデジタル故、そのまま印刷所に入稿されて複製される危険が……(誰が素人の同人小説を好き好んで複製する奴がいるんだ! ってのはありますけどね)。
 ただ、小説をディスプレイで読むというのは、まだ辛いものがあります。WEB小説なんか眺めていると長編の場合章を細切れにして、一章をA4換算で1~5ページくらい分の量にしてまとめている感じに見えます。(一気読みしづらいのというイメージがあるのでWEB小説は殆んど読みません。最近はユーザビリティ良くなってるのかな?)
 大学時代レポート書くため、著作権の切れた何百ページもあるスキャンされた文章をデジタルライブラリで読んだこともありますが一気に読む場合、何百ページもある長文の文字データをディスプレイ越しに見るのもキツイものがありますし。仮に面白い小説が違法にアップロードされてても読むのメンドクサイと思ってしまいます(ある意味それが小説の強みであり弱点)。kindleならまだマシですが。
 自分の同人誌の原稿も、分量が多くなってくると印刷してから読みますし(校閲の意味も兼ね)、まだ完全デジタルで作業するには程遠いですね。
 それにシンプルなテキストデータというのは面白味がないんですよ、ここらへん個人的ながこだわりなので、あまり気にしない人には関係ないんでしょうが。同人誌作ってると、文字組や装丁も自分で好きなようにできるから、変に執着してしまうんです。実際、同人の世界だと漫画でも文章でも商業だと、版型・装丁までデザインできないから同人誌にしている人もいますし、自分の場合、電子書籍に対しては好意的でも、まだ自分の思い通りにできないという点で見送っちゃうんですよね。

 私にとって電子書籍って個人的には資料用のメディアで、読書するためのものではなくて辞書や図鑑。教科書といったものを資料として参照する扱いに近い気がします(もちろん読書にもかなり使ってますが)。ただ辞書的として使うにはレファレンス性やユーザビリティの面でまだ弱い。金さえあればという前提なら暇つぶしには十分使えますが。
 でも、過去の資料や、古い文献をスキャンしたものなんかはPCのディスプレイや電書端末越しの方が助かるときがありますね。資料を劣化させずに安心して使用できる喜びって奴です。
 翻訳家の方ならPC上で電書参照しながら、別ウィンドウでテキストエディターや辞書立ち上げて翻訳なんかできるだろうし、以前と比べたら数段マシになってるんじゃないだろうか?
 デジタルデータは物理的な負担が少ないのが利点だし、絶版本がもっと読めるようになれば本読みとしては最高なんですけどね。
 電書は将来性が十分あるし、これから十分広がるメディアだと思っているので、早く不便さが解消されてほしい所。あと値段が今の半分くらいになってくれればありがたい。