同人パルプって何だ!? ――MOZA MOZAが目指す同人小説のカタチ

突然、訳の判らないネタですいません。というわけで、今回のテーマは『同人パルプ』。MOZA MOZAが目指すフィクションの形式。簡単に言ってしまえば『ラノベ』のように、ジャンルのカテゴライズの様なものです。とりあえず簡単に言ってしまえば同人小説の中でラノベよりは年齢層が高いけど、内容的には文学や一般文芸といったジャンルよりは荒唐無稽でアニメ、漫画的な影響を受けた小説の総体。

 正直、自分の作品を『ライトノベル』で括られると、なんか違う気がしたので別の言葉を考えてみたわけです。とりあえずやっていることは『同人』小説の内容は『パルプ小説』のように荒唐無稽で楽しい読み物、だから同人パルプ(Dōjin pulps)ととりあえず形容しています。
 別にラノベのカウンターになろうというゲスい考えはこれっぽっちもありませんので。実力もクソもないドピコサークルの戯言とお思いください。

■パルプ小説とは何か?

パルプ――紙の原料。転じて粗悪な紙の意。
 わかりやすく言えば20世紀初頭のアメリカで作られた、学校のプリントでおなじみの藁(わら)半紙をもっと悪くしたような、質の悪いザラ紙に印刷された大衆小説雑誌(日本でも戦後パルプ雑誌から影響を受けた、カストリ雑誌なるそのまんまの名称の物が発行されたりした)もしくは、それらに連載されていたような小説のこと。
 つまりパルプマガジンが大量に生産した。当時の価値観からすれば『刺激的で、俗悪で低俗な』小説群のことです。ジャンルとしては(冒険小説、アクション、ロマンス、SF、ホラー、ミステリ、ハードボイルド……etc)現代の娯楽メディアの大半を網羅している。
 言い換えれば現代のジャンルフィクションの大本なわけです。
 現代の文学、大衆小説は少なくともこれらの影響を少なからず受けています。中には現代アメリカ文学を代表する作家も輩出してますし、さらに言えばや日本を含めコミックカルチャーはパルプ小説の正当な後継者の一つだったりします。
 これらが無ければ、スーパーマンバットマンも存在し得ない、ましてやミステリ小説やハードボイルド、クトゥルフもハードSFも存在し得ないと言っても過言ではない。まあ、大まかに言えば19世紀後半から20世紀初頭に生まれた娯楽メディアってところです。

■同人パルプ

で、そこから、同人パルプとは何ぞやという事になっていくんですが。
ラノベの様な複合ジャンルエンタメ同人小説群。読者層は20代以上(ハイターゲット)がメインで、サブカルチャー・コミックカルチャーとも親和性が高い。って感じでしょうか?
 いわゆる気楽な読み捨てのペーパーバック・フィクション的なもの。作りも何もかもが安っぽい。トイレットペーパーや包み紙くらいよりかは暇つぶしにはなるだろう文章が書かれた紙の総体。
 一応自分の書いている作品はラノベだとは思っているんですが……近年ラノベというと萌えジャンル目立つようになってから、本当にラノベなのか? という疑問も生まれた関係で同人パルプという言葉で自分の作品をくくっています。それに、あまり売れるものでもないし、取るに足らないものという自虐も込み。
 まあ、要約すれば、最近のラノベのくくりじゃカテゴリーエラーになりそうな尖った作品やら、商業ジャンルではくくりづらい、同人でしかできないもの。であるとでも思ってください。他にも候補としてオルタナティブというか独創的なものという意味を込め、 オルタナティブラノベ=オルタラノベなんてのも考えたんですが、語感的にイマイチな気がしたのでやめました。

■同人パルプの自分なりの定義

自費出版物(いわずもがな)
・読み物であること(『誰か』に読んでもらうための物であること)
・オリジナル創作であること
・文字組みやデザインその他、出来ることは全部やるDIY精神にのっとっていること
・流行にあまり流されないこと(書き手が書いたもの自身が『自分だけの流行ジャンルである』という考え)
・今、自分が書けるものを書くこと
・作り手のこだわりが感じられること

他にもアンダーグラウンド的なオルタナティブ表現とかも含めるか考えたんですが、行き着くところがそれだと文学とあまり変わりない気もするので、各自の判断でってことで。
 多分、俺が筆を折れば多分この言葉も自然消滅なんだけどね。

■何でそんなことを考えたのか?

最近じゃ、一般文芸もキャラクター小説化していますが、リアルを意識しすぎている気がするんで、自分的にはなんか違う感じだったので。どっちかというと自分が書きたいのは、青年コミックや大人向けアメコミみたいなリアリティはあるけど、どこか、現実と断絶している感じのある作品だったので、しっくりくる居場所も、そう言ったジャンルを形容する言葉もな買ったので、無いなら自分で勝手に名乗ってしまえってことで……。
 それにそういった作品を形容する言葉が見つからなかった会い、さらに言えば自分が今やっていることは創作同人なわけだから、自分でしっくりくる言葉を考えたなりの結果、行き着いたのが『同人パルプ』だったわけです。
 他の人と比べれば、文章力もコネも実力も自己プロデュース力もなんにもないが、書きたいものと情熱だけがあるような奴が手っ取り早く、自分の作ったものを形にするのは『同人』しかないじゃん。余計なしがらみは少ないし、おまけにこだわろうとすれば、装丁から文字組、用紙にまで好き勝手にこだわれるんだぜ?
 売れないことに目をつぶれば、資金とモチベーションさえ続けば、ある程度のレベルまで好きなことが出来るってのは、相当な魅力。責任は自分がすべて持つわけだ。

■おわりに

手っ取り早く言えば文学だろうが、ラノベだろうが、エンタメだろうが創作文芸は面白いよっていう事さ。
 地下出版物めいたコピー誌だっていいし、金をかけてInDesignなんか買ってDTP環境整えれば、商業クオリティの本だってできるし、安上がりにワードで原稿作ってPDFにして、絵の描ける友達にAdobeのフォトショかイラストレーターで表紙データ作ってもらって印刷所もってって本にしたっていい。最近じゃ電子書籍って手もある。
 とりあえず、今は誰にでも同人は門戸を開いている。多少、まとまった金や、人脈、人徳、人間関係は必要だけど、昔に比べりゃ大幅ディスカウントされてます。激安!
 一歩足を踏み出せば、あなたもすぐに同人作家。大切なのはクオリティーじゃなくて、まずは作品を作り上げて、形にすること。どんな素晴らしい原稿だって出来上がったものを見せなければ。どんな形であれ作品にしなきゃ意味がない。
 原稿を書いて、製本したら、同人誌の出来上がり。同人誌の作り方は、ネットにノウハウが転がってるし、やってみると思っているよりは簡単なのでお試しあれ。