男はネクタイをまとってヒーローになる


スーツやネクタイと言うものは、男性が身に着ける物の中で一番オシャレでカッコいいものだと私は思っている。それは自分がスーツを着て仕事をするからかもしれない。

やっとクールビズの季節もそろそろ終わりそうだが、私は夏でも仕事の時シャツにネクタイを着けていた。何となくノータイじゃ締まらないというか味気ないのだ。ジャケットを着用している時は別にそういったことは感じないのだが、シャツだけと言うのはどうもなじめない。おかげでこの夏も仕事の時はいつもネクタイを身にまとっていた。

 おかげで最近、就活の時に買ったネクタイの幾つかがほつれたり、くたびれてきた。なんやかんやで、役目を終えたのだろう。なので新しくネクタイをいくつか新調した。
 私にとってネクタイは消耗品である。無論スーツも。だから身に着けるのは量販店の安物である。バイトに毛が生えた程度の収入だし、それが身の丈に合っている。さらに言えば講師と言う仕事柄、チョークを多用する。だからスーツもシャツもチョークの粉まみれになりやすい。いいものを身に着けたところで、スーツも悲惨な目に合うのが目に見えている。

 ただし、安過ぎても問題で生地が酷かったり、着心地が悪い。なによりデザインが悲惨である。安物は誰が着用するんだというような大阪のオバちゃんレベルの有り得ないデザインが多い。生地云々よりもなによりもデザインは値段に直結するのである。美しさにはそれ相応の対価があるという事だろうか。

 毎朝、私は鏡の前でネクタイをカッチリ結び悦に入る。他人のスーツやネクタイには何も感じないが、自分が朝ネクタイを締めるのはすごい好きだ。シャツとネクタイの色の組み合わせによって、同じシャツでも見せる表情が違うのである、なんとも言えない味があるのだ。

 ある意味自分を守るおまじないみたいなものでもあるし、精神的安定剤の代わりかも知れない。幻想ではあるのだが何となく、自分がカッコよくなれた気がするのである。個人的な趣味としては、ネクタイは地味すぎず、適度に鮮やかなモノが好きだ。

 最近は赤いネクタイが欲しいのだが、いい色のモノが見つからない。大半がくすみ過ぎていてちょっとオッサン臭い。ただ鮮やかすぎるとうるさい感じがして下品になりすぎる。そこらへん難しい所である。
 
 私はネクタイとスーツが好きである。大昔のハードボイルド・ヒーローやスーパーヒーローはフェドーラ帽にドミノマスクにスーツとネクタイいう出で立ちである。もしかしたら自分は、スーツやネクタイと言うものにスーパーヒーローの面影を感じているのかもしれない。