タイプライターの書体について

夏ごろから都内では公開されていた『タイピスト』が最寄の映画館で今日、公開されたのですが、まだ見に行けてません。

 話によると面白いらしく、さらにパンフレットがタイプライターの形をしてオシャレなそうなのですごく見に行きたいです。とりあえず、どうにか時間作って来月中に無理やりにでも見に行きたいです。という事で久しぶりにタイプライターの記事です。最近は欲しいと思えるタイプライターがオークションに出回ってないので、競り落とすこともしてない感じです。すでに置場にも困ってますしね……。

 以前、タイプライターの書体について尋ねられたことがあったんですけど、その時は資料が無くて、機種によっていろいろ書体があるくらいにしか言えなかったんですよね。とりあえず以前から調べてたので知識はあったんだけど、具体的な資料提示やソースがなかったので、とりあえず自分の為にまとめてみた。

 タイプライターネタって、かなりマニアックなせいか、ブロマガの読者からの反応はほとんどないのにアクセス数が多く定期的なアクセスがあるみたいで、多分外部からググってたどり着くんだろうなと思ったりします。

■基本書体について
タイプライターの字の大きさっていうのは、一般的に流通しているものには大まかに二種類に分けられます。本当はもっといろいろあるんですが、実際手に入るものというとパイカとエリートとの二書体。(更に小さいものでマイクロと言うのもありますが)。

 もちろん、写植活字のはジャンルが違うのでポイント換算みたいなことは難しいです(自分の調べキレてないのですが、ポイントが使われるのは電子タイプライター以降だと思われます)

手動タイプライターは一機種一書体なので、フォント変更はできません。
 電子タイプライターはタイプボールやデイジーホイールの交換で大きさも書体も替えられるようですが電子・電動タイプは所持していないので詳しいことはわかりません。

まずは基本の二書体について

(『實用邦文タイプライター敎科書』龍成社出版部, 1936

イカ: 1インチに10文字(大体12pt活字相当の大きさ)
エリート:1インチに12文字

文字が大ぶりならパイカ、小ぶりならエリートと覚えておけば大丈夫です。一般向けの英文タイプライターで流通しているのはこの二書体だと思っておけば問題ないかとおもいます。

■その他の書体
それ以外の文字についてはネットで調べたり、近代デジタルライブラリーでタイプライターで検索して、出てきた電子化されている書籍などから引用したり、画像データを集めてみました。全部を網羅してはいませんが素人がまとめられるだけまとめてみました。
 
 引用画像の英語の例文が書体の解説の様なものになっているので、各自翻訳してみれば用途がわかるかと思います。

(『タイプライターの知識と練習』文友堂書店, 1923)

丸善株式会社 編 『ローヤルタイプライターの扱方と練習』 丸善, 1929年

黒澤貞次郎 著 『タイプライターの沿革』黒澤商店, 1927

他にもネットで調べるとCursive筆記体)やBlack letterと呼ばれる書体が使えるタイプライターもあるようです。ドイツでは1941年までドイツ文字とも呼ばれるフラクトゥール(Fraktur)というBlack letterが使われていた関係上、戦前のドイツタイプライターに多く存在する書体の様です。日本では多分オークションや中古市場でも出回ってないんじゃないかな? かなりのコレクターの方は持ってるかもしれないけど……。

Cursive


結構デザイン性の高い筆記体



何というかゴスな趣味をもった方に受けそうな書体。

という感じで自分が入手した画像資料は以上です。タイプライターの書体について自分の知っている範囲で、まとめてみました。素人が一人で調べるのには時間や金など色々限度があるので中途半端なのはご許し下さい。

 著作権の切れたタイプライターの書籍資料なんかは近代デジタルライブラリーで結構読めたりしますのでお勧め。当時の機械に対する独特な考え方は見ていて面白かったりします。

 まあ、無駄知識ですが誰もまとめている人がいないのでまとめてみました。なかなか日本語で書かれたタイプライターの資料って見つけるの大変ですね。ただ私自身、文字オタクなので、こういう筆記具に対する興味は尽きないんですよね。

■オマケ 和文タイプライター書体(電報用カタカナ)について

黒澤貞次郎 著 『タイプライターの沿革』黒澤商店, 1927

電報用のキーボード配列。普通のカナタイプとはまた違った配列。


黒澤貞次郎 著 『タイプライターの沿革』黒澤商店, 1927

電報でおなじみのカタカナ書体。
 自分も、この書体が使えるタイプライター持ってるんだけど壊してしまったので……。盆過ぎに専門店で直せるか見てもらうつもりだったんだけど、色々あってもっと先になりそうかな。
 そういう事で、バイバイ!