同人物書きによる小説の書き方

まあ小説の書き方の極論をを行ってしまうと、とにかく書け。ってことに尽きるわけですが、実際は、そういう訳にはいかないもんです。悩み苦しみ生み出すのが創作の常。近くにまともな理解者なんているわけは無く。一人苦しむ孤独な作業。毎日続けていると頭がおかしくなったり、精神がおかしくなってしまうんじゃないかとさえ思う事もあります。

ということで、自分なりの小説の書き方についてのノウハウ的な何かをつらつらと書こうと思います。創作法・創作論なんてものは各テーマ、ジャンル、その時の状況でケースバイケースで正しい答えはありません。
 日本の教育だと高校までは、ドリルとクイズ形式の勉強が主ですから、答えを出すって事を重視しがちになるのはしょうがないことではあるのですが、創作って言うものは、自分の意見や考え、面白いと思ったことを表明する手段なので、正解を出した時点で成立しなくなります。というか絶対正しい、小説の書き方なんて存在しないのよ。

まあ、これから語るのは、ヒット作もキャリアもない同人物書きの戯言ではあるので、鵜呑みにはせず自分で判断して取捨選択しましょう。参考にするも良し、馬鹿にするも良し。とりあえず、大まかなところをだけ、特に構成・プロットの組み方・アウトラインについての話題ですから、文章表現、語彙のコントロール。言い換えなどの文章論な土は、今回扱いませんのであしからず。
 自分のやり方を説明するわけですから、説明が不十分なところもあります。もし質問や「ここの部分はどうしてる?」とか知りたいことがあればコメントでも何でもくれれば、答えられる範囲で答えます。量が多くなってしまう場合は、余裕があるときにでも追加記事を書きますので……。

自分が語ったノウハウが、万人にもいいとは限らないし、逆に悪影響の場合もあります。どんなに頑張ったって苦手なことだってあるし、何もしないでも誰よりも上手くできることだってあります。あくまでも、ノウハウは補助的なものであり、絶対的なルールじゃありません。頼りすぎると逆に何も出来なくなることのほうが多いです。

正直ノウハウってのは丸パクリした所でそのまま運用するってのは難しい所なので、参考程度に留めておくといいでしょう。自分のやっているスタイルに少しだけ混ぜてみる位がちょうどいいんじゃないでしょうか? 自分にあった方法を使って小説に対するアプローチをデザインしましょう。

■今まで試してきたこと。
小説を書きたいと思い始めてから一、二年はハウツー本を買いまくっていました。ちょうど高校時代ですね。滅茶苦茶買い込んだし図書館に行っては小説、シナリオの書き方を洋の東西問わず、とりあえず読みまくっていた。その後も、いいなと思ったのはパッと読んで買い足していった感じですね。とりあえず、一つの本を買うんじゃなくて色々な人が書いたのをまんべんなく読むといいです。本によって書かれていること、書かれていないこと、重要視している事に違いがあります。
 いままで読んできた中で特にお勧めしとくのは、
 
 ・ハリウッド・リライティングバイブル
 ・ベストセラー小説の書き方
 ・ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門
 ・別冊宝島144 シナリオ入門
 ・SAVE THE CATの法則
 ・ハリウッド脚本術
 ・映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと
 ・素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック

 これだけ読んでも書けるわけではありませんが、エンターテイメントジャンルで文章を書くなら、ハリウッドのシナリオ技法は技術の定量化という観点やハズさない物語の書き方の基本を押さえているので必読だと思っています。
 何で全部、外国人が書いた技法書なのかと言うと、私自身、高校時代はライトノベルと海外SFしか読んでいなかった身で、ボリュームがあって面白いものを書くのは外人と言うイメージがついていたのと、読んでみて説明が具体的と言う二点が外国人が書いた技法書を選んで行った理由です。ベストセラー小説の書き方とローレンス・ブロックのベストセラー作家入門は、今でも読み物として面白いので時々読み返しますね。
 まあそんなこんなで今まで、いろいろやって挫折したりしつつも、力技で同人誌作ってそんなまとまっている風でもないのにENDマークつけて、今回失敗したところは次の糧ってことをここ数年繰り返しているわけです。

■自分の書いたプロット・アウトライン
黒歴史めいているのでこういうのを晒していいものか悩むんですが、死ぬわけじゃないしね。
 もう小説を書き始めてから何年も経ってますからねぇ……色々やりましたよ。最初は小説じゃない文章でさえ二千字書くのにも一ヶ月くらいかかってましたし。ということで参考になるかわかりませんか、自分が作ったプロットやメモの一部です。


五年前のプロット、ハリウッドのシナリオ形式で細かく書こうとした。結果として、15ページ位かいたが、原稿書くのよりもめんどくさくなってしまったので、途中でプロットを書くのをやめた。ただ、具体的に場面を書くことで、場面描写が前よりうまく書けるようになった気がする。



同時期のキャラクター設定用マインドマップ。こんなことしても、キャラが脳味噌で話しかけてくるわけでもなくあまり意味はなかった。これ以降、自分はキャラクタープロフィールなどは一切作らなくなった。

数年後


近年のプロット。ほぼ簡単なメモ書き。スペルミスや漢字の間違いとかは関係なく書きなぐる。書きかけの原稿を印刷した紙の裏を使って、メモとストーリーラインを四分割し要点だけをまとめている。落書きも思考の整理の一部分もあるので鉛筆消しゴムなど消せる筆記具は使用せず。



パッと思いついたメモ書き。一人称めいている。自分的にキャラの感情を読み取ったもの。適当な紙に殴り書き。

基本的に自分はプロットやアウトライン書くときは自分だけにしかわからないような字で汚く書きます。手書きだと、数秒でかけるし、少量のアイディアが着は自分の思考スピードで書き連ねられるのでメモ・概要くらいならなら自分はボールペンで手書き(普段はペンのすべりの良いZebraのClip on四色ボールペンやSARASAの1.0mmなどを愛用ています。時々、わざとらしく万年筆なんかも使ってみたりw)。
 さすがに長文の原稿執筆時はPCの変換機能がないと死ぬのでPCです。ただ、原稿に詰まったり、ディスプレイの光がストレスになってきたら書きかけの原稿を紙に印刷して行間に書き込みは良くやります。書きまくっても目が疲れないので楽です。

 そうすれば、他の人が読もうとしても読めないし、仮に同居人がいても汚いので読む気を無くします(笑)一人暮らしとかでない場合、掃除に来た家族や同居人によって、知らぬ間にゴミ箱行きなんてこともあるので気を付けましょう。

■書いていくうちに無駄がわかってくる

滅茶苦茶、プロットを時間をかけて作る人でも、慣れてくるとシンプルになっていきます。もちろん何年も書いているのに何十、何百ページとかく人も中にはいます。そうしないと精神的に落ち着かないって人もいますから。
 でも、大半の人はそんなに用意周到なほど準備をしなくなります。ノートに要点を書くだけ。ちゃんとプロットは作っても、省略記号や重要な単語だけ並べるだけとかに変わっていきます。
 いわゆるニュースの見出しの様なもので、それを使えば頭の中で当時の記憶がよみがえってくるようになるんです。いちいち出来事を紙に書きまくるのは時間がかかるし、場合によってはとんでもないボリュームになってしまう事もあるのでどうしても簡潔にまとめなければなりません。
 小説になった時点で脳味噌の中の妄想内容をブラッシュアップした要約になっているものだし、書く前は情報量が小説にした時よりもっと量が多いのが普通なんです。
 プロット作ってるときは事あるごとに断片断片をかき集めているのでそんなに量があるようには思えないんですけどね
 でもプロットを作っていくうちに、この部分は自分にとってなくても大丈夫、無駄だとわかってくるんところが出て来ます。それはあなたが成長した証でもあるし、プロットを考える以外にも別の思考が出来る余裕が出来たということだと思います。

 無駄と余裕は紙一重です。出来るだけ無駄な部分を創作の余裕に出来るだけ変えて生きましょう。無駄をなくしすぎると余裕もなくなりますから、無駄な部分を切り捨てるんじゃなくて、無駄を省略した時にできた余裕をどう有効活用するか考えましょう。

■書くための準備

・先行作品・類型作品を漁る。
 先行・類型作品(ジャンル・内容問わず)を一通り目を通しておくと、参考になる部分や、その作家が誰の影響下にあるかとか、同世代の作品はどんなものがあるかなど時代性がわかったりします。他にもパクリ防止もしくはアイディアの拝借ができますし、先行作品の駄目な部分がわかれば、同じテーマでも別の切り口からアプローチできます
 ついでに言うとアイディア自体はパクっても著作権はないので問題はありません。ネタかぶりは心理的にはキツイものありますがアイディアの場合『同じテーマの別の表現』扱いになります。
 ただしオマージュといいながら文章の丸パクリや構成を含めての作品のパクリはアウトですやめましょう。

・資料を集める
 世界構築や設定にはファンタジーであれ何であれ現実の資料を当たりましょう。仕事などの自分の専門分野を応用して設定を作ったり、ニュースだけでなく文化論、脳科学、物理学、経済学、言語学、社会言語論等の専門分野なんてネタの宝庫です。
 
・イメージを膨らます
 資料を集めたら、妄想しましょう。書くためのモチベーション増加します。

・キャラクターを作る

■ストーリーラインを考える

ラストシーンをまず決める
起点をどこに置くか考える

どういうお話かという一文(前提事項:プレミス)を作る。
___という理由により(ex.犯人の死亡、事実が表に世間の下に去らされる、ヒロインと結ばれる...etc)事件・イベントが収束する(ラストシーン)

XXという少女が何者かに狙われ主人公が保護する。(起点)

少女を守るため、主人公は彼女を狙う組織と戦う(前提事項:プレミス)

これを並べ替えるだけで三幕構成アウトラインの出来上がり
XXという少女が何者かに狙われ主人公が保護する。(序論)

少女を守るため、主人公は彼女を狙う組織と戦う(本題)

___という理由により(ex.犯人の死亡、事実が表に世間の下に去らされる、ヒロインと結ばれる...etc事件・イベントが収束する(結末)

どんなお話か誰かに聞かれたらプレミスを言うだけ。そのままでもいいし、もちろん設定なんかを肉付けして具体的にしてもいい。この時点で面白そうだと思わせることが出来るとけっこう上手く行くんじゃないかな?
どんなお話?
――少女を守るため、主人公は彼女を狙う組織と戦う。
これで大体の下準備は終了。

■プロット作成&執筆

自分の場合は、どんなイベントが起こるかだけを箇条書きにしたアウトラインだけかいたら、即執筆に入ります。というか、そうでもしないとイベントに間に合わないので、あとは行き当たりばったり。
 ただ、このやり方の問題点は、要点だけまとめているだけなので、具体性に欠け中盤の内容が曖昧になるというのが弱点。マラソン大会で地図を貰ったけど、ポイント地点は書いてあるが肝心のコースのルートが一切書いていない状態なもんで自分も毎回困っています。

あとは、ずっと書いて、詰まったらアウトラインを参照してどうやって書くか繋ぎを考えたりプロットを掘り返す。そしてまた書く。毎度その繰り返しかな。執筆に入るとずっといやになるくらい長い時間原稿と孤独に向き合うので最後はメンタル的な部分を管理して、ナーバスにならないことが大切です。かけなくても死ぬわけじゃないしさ。

何事も難しく考えないのが一番です。

世の中にはプロットも何も用意しないで書き始めて恐ろしいスピードでハイクオリティなものを書き上げちゃう猛者もいます。だから、別にこんなまどろっこしいことをしないでかけるならぜひそうしてください。

自分なんかは要点をまとめるのは得意だけど、具体的な肉付け効果的なストーリーの見せ方はないかな、と毎回書きながら考えています。映画やアニメのストーリーラインに自分の設定を乗せて妄想したりもしますが、今のところどんな手段を使っても上手くいったためしがないので、ここらは書きまくってどうにかするしかないのかもしれません。何か良いアイディアあったらご教示ください。

ということで、今回はこの辺で……「勘違いしないでよね、べ、別に小説の原稿に詰まって筆が止まってるわけじゃないんだからね!」