本の感想:GO チップ・キッドのグラフィックデザイン・ガイド


以前、このブロマガで紹介した“GO: A KIDD'S GUIDE TO GRAPHIC DESIGN”の邦訳『GO チップ・キッドグラフィックデザイン・ガイド』(中村有衣 訳、CCCメディアハウス刊)が出版された。個人的には超お勧めである。特にイラスト、漫画、小説、同人などクリエイティブな人には、すごく役に立つことが書いてある。

内容は基本的なことがバランスよく網羅されて、基礎を確認するのにもいいです。

まずは、チップ・キッドがどんな人物か……
GOの本文デザインをパロって彼のプロフィールを作ってみました。写真は“Chip Kidd Book: 1”より拝借。オタク寄りのアーティストタイプと言った感じの人です。

俺は外国語読めないくせに洋書とか買う人間なのですが、アメリカの人気作家の本って高確率で彼の装丁であることが多くて、それを除いても気になった装丁の本は高確率でチップ・キッドが装丁しているイメージが有ります。他にもピーター・メンデルサンドとか有名どころはいるんですが。インパクトと言う面では彼が抜きん出ている感じです。


彼がブックデザインについて話したTEDのこの動画は130万回再生を突破しています。すごいね。これを見ると、個性的なタイプのにんげんですよね。

本の方ですが、原著がハードカバーだったのに対し、こっちはソフトカバー。でもかなり凝ってます。

カバーを外した製本用式は糸かがりのコデックス装。本が180度開けるのでアートブックなどで使われる製本。背をくるまない仮製本の様式。これ、製本するの手間かかってるんじゃないかな。刷数も含め値段も英語版の倍近くになったのは仕方ないかも。





本文デザインは、オリジナルより抑えめ。ネットで本文画像を見た時は、書体まで似せてほしいと思っていたのだが、いざ、本として印刷の状態でみたら、読みやすくしっくりきた。ちゃんと紙で読み時のことを考えて組んでるんだなと関心。



内容に関しては、グラフィックデザインについてわかりやすく書いてある。当たり前だが英語版で読んでいたときよりも、すっと頭に入ってきて、意味が明確に汲み取れるようになって、感じたのは思ったより情報の濃度は濃い。




ヴィジュアルだけでなく、タイポグラフィに関しても書かれているので、自分みたいな同人小説屋にもかなり役に立つ内容。形式から、書体、内容、コンセプトといった創作に関連する重要な情報が詰め込まれています。




とりあえず、俺から言えるのはとにかく読んでみて。なにか作っている人にはホント役に立つから。いい本ですよ。金払うだけの価値はある。