同人誌の造本設計『あるべき時、あるべき場所で』

お久しぶりです。最近は残業続きで心も体も弱りかけで若干しんどさを感じつつも生きてます。夏コミ当選しました三日目 東 ハ07a MOZA MOZAです。是非遊びに来てください。

さて、そんなことは置いといて、参考になるかわかりませんが、たまにはGWに作ったアンソロジーの造本設計について書いていこうかと思います。どれも、これも印刷所のセットパック、InDesign、特定のフォントとまとまったお金があれば出来るものです、昔と違って個人でも金を出せばそこそこのクオリティーのものは作れます。

■外観

今回作ったのは同一プロットアンソロジ―『あるべき時、あるべき場所で』
基本設計はA5サイズ 216ページ ガンダレ装(フランス表紙)。本文用紙はコミックルンバクリームを使用。印刷所は特殊加工の関係上、緑陽社にお願いしました。
特殊加工として小口側アンカット風製本にしてあります。





袖のある本を作りたかったんで、フランス表紙にしました。袖があるだけで、上品なイメージが出てくるのがいいですよね。



小口側は洋書のDeckle Edge(デッケル・エッジ)を模したかったので、小口側をアンカット風仕上げにしてもらいました。流石に洋書によくある折がガッツリわかるようなアンカットというわけには行かなかったのですが、こんな感じで仕上がりました。『小口アンカット風製本』と指示すれば追加料金で加工してくれます。


※Deckle Edge 参考 洋書 Penguin classics deluxe edition “Rashomon and Seventeen other story”より。



背の厚みもそこそこあって、本らしい仕上がりになっています。

■本文

本文は10ポイント、行間7ポイント 23文字×19行二段組。本文文頭はドロップキャップ。
A5サイズなので本文書体のサイズも少し大きめに、行間も広めに取ってリッチな仕上がりになるように意識しました。

本文用紙に関しては、個人的にはクリーム色のもう少し軽くて厚めの嵩高紙だと良かったんだけど、印刷所の本文用紙にあまり選択肢がなかったので許容の範囲内だったコミックルンバクリームを選択。若干重いがしなやかだし悪くはない用紙ではある。

個人的に軽い紙のほうが好きなのは、読む時も疲れないし、持ち帰る時、ダンボールが重くなって輸送費が高くなってしまうという理由もある。


巻末には本文書体解説をつけています。今回使用したのはリュウミンリュウミンオールドがなとMinionを使いました。見出しとか一部の文字にはそれ以外も使っているのですが殆どはウエイトは違えど、これらのフォントファミリーを使って構成しています。


巻末には今回のプロットを横組で付録としてつけています。

何と言いますか、この程度のクオリティなら文章系同人誌でも普通にできるようになってきました。ヘタすれば、コスト面で商業にはできないような、豪華な造本だって金かければ普通にできますし、デザインの面で冒険も出来るわけで自分の作品を本にしたいなら、同人誌っていうのも昔と違って妥協ではなく攻めの選択かもしれないです。

自腹を切っている分、エッジの利いた作品やクオリティを担保した作品は創作同人の世界にもたくさんあると思うので、イベント等に足を運んで開拓していただける方が増えるとありがたいなと思っています。

実際に現物を見たい方は、コミケや自家通販、その他イベント出店時に取り扱ってるので是非手にとって見てください。では。