【批評】映画『タイピスト!』見てきました【感想】

je t'aime
Je t'aime!!
大切なので二度言いました。私も je t'aime(ジ・テイム――愛してる)と叫びたくなる。素晴らしい映画でした。

タイプライターが出てくる映画が日本でも公開されるというのは五月ごろから聞いていたのですが、近場で見られるところで公開されるのが9/26日だったんですが、色々あって今日やっと見ることが出来ました。

ちょうど今年に入ってからタイプライター収集をはじめていた時分にはとてもグッド・タイミングでしたよ。ホントに。
1959年ノルマンディー
ローズ・パンフィルは片田舎の雑貨店の一人娘だった。父親は村のエンジニアの息子との婚約を進めていた。しかし、現代的な自立した女性を目指すローズは家出し、当時の女性のあこがれの職業である秘書になるため、街に出る。

その足でルイ・エシャールが一人で経営する、保険会社に面接に行くが、田舎者扱いで、門前払い同然の扱いしかしてもらえなかった。そして、面接終わりかけた時、事務所にあるタイプライターを叩き始める。

その際、すごい速さの一本打ち打法(タイプライターはキーがパソコンの数倍重いので、慣れないうちは一本打ち打法や、力の入りやすい指だけを使う方が早くタイプできる)を見せつけ、一週間の試験雇用させてもらえることになる。

ただローズは事あるごとにドジを繰り返し秘書としては無能だった。条件を出すことにした。上司のルイに男女の関係を迫られると勘違いして、すぐに怒り出し事務所を後にしようとしたローズの手に渡されたのはタイプライティング競技会のチラシだった。

しかし、地方大会であっさり予選落ち、しかし、それが上司ルイの闘争心に火をつけた。彼はローズを下宿から連れ出し住み込みの特訓を宣言した。彼の豪邸で鬼コーチとなったルイの指導が始まる。まずは一本打ち打法の矯正から

――彼女は何処まで行けるのか、そして上司ルイとの関係は……?
まあ、そんな感じて恋とタイプに精一杯な素敵なロマンティック・コメディーです

白黒時代の往年のロマンティック・コメディやスクリュー・ボール・コメディの流れを組んでいそうなベタベタなお話なんですが、切り口が現代的で洗練されて、ああこういう見せ方がまだあるのかと言う、感嘆の息をもらすような作品です。

スポ根入ってますが、日本の基地外じみた特訓の様なものは無く、常識的な範囲内。主人公のトジっぷりやコーチの女心の判らなさに不満を爆発させるなど、ラブコメ的ツボはちゃんとついており非常に面白い。

女優さんも綺麗で可愛いし。もう萌え萌え。相手役の上司も中々。ああいう、いい感じに円熟した男に自分もなりたい。そんなこんなで、ニヤニヤしたり、ところどころ笑ったりと非常に面白かったです。

主人公がタイプしていたタイプライターは
・序盤の主人公の実家の食料品店のはトライアンフ ガブリエ―レ 2(TRIUMPH Gabriele 2
・メインで使っていたのがヘルメス・アンバサダー(HERMES Ambassador)
・終盤で使ってたピンクのは仏タイプメーカのジャピー(Japy)型番不明(S18がベースに見えるが、映画オリジナルか?)
の三台。最初のはポータブルだけど、それ以外はスタンダード型でデカくて重いやつですね。1950年代が舞台ということで、オタク洞察力で色々なものに目が向きました、車とか服装とか、レトロなもの大好きです。

原題はPopulaire(人気者の意、英語のPopularと語源が同じ)というタイトルで、タイプライターの型番か、その愛称らしい?(Google翻訳で無理やり調べたため、正しいかは不明)。

邦題は『タイピスト!』要点を付いた良いタイトルだと思う。

カップルで見るのもかなりオススメな映画。自分は一人で観に行きましたけど。

とりあえず、機会があれば観てみてよ。絶対損はしないから。

みなさんがカワイイと言うピンクのタイプライター型パンフレット。残念なのは本編で出てくるピンクのではなく、ヘルメス・アンバサダーを白黒スキャンして彩色していると言う点。
 そんなことは殆んどの人がわかんないし誰も気にしてないけどね。

野暮な蛇足であるが、実際のヘルメスはグレーとグリーンのキーボードである。

ここ数年ではかなりの傑作。たぶんDVDかブルーレイか円盤が出たら絶対買う。そんな作品です。ああ幸せ!

公式サイト
http://typist.gaga.ne.jp/