タイプライターの話



タイプライターを集めるようになって、そろそろ一年が経つ。集めようとしたきっかけは、ただ単に欲しかったからとしか言いようがない。無理に言えば、元々書体が気に入っていて実物はどんなものなのだろう? という興味が湧き起こったからと言ったところか。

何はともあれ、去年タイプライターに費やした金額は約十万円。一か月に一台位集めていた結果そうなった。おかげで、置き場所に困り始めていたりする。まあ、それは仕方のない事だろう。

なんやかんやで、自分の性に合っているアイテムだったので、はまってしまった。とりあえず、写真のタイプライター Olivetti lettera 32 なんかは最初に入手した機種で、英文配列、インターナショナル配列、英文カナコンビ配列の三種類を入手することになる。

そこで、一段落するかと思えば、デザインが違うタイプライターをまた数台集めるようになってしまった。それも落ち着いてきたら、ちょこちょこ、英語の取説を自分の力で翻訳して見たり、レトロな資料を集めたりという方面に進んでいった。元々オタク気質なので、いつもの事と言えばいつもの事だ。

オークションを覗けば、ジャンクと言えどそこそこ使えるのが安く転がっていた。大体戦後のものなら強烈な錆びとかない限り、アルコールで全体の汚れを浮かし取り、タイプアームに注油すればどうにかなるようなものが多い。

最初は、一人でタイプして悦に入っていたのだが、しばらくして自分の同人サークルのイベント時のスペースに置くオブジェにすることにした。文章系サークルというのは、なかなか人が来ない。スペースにいても閑古鳥が毎回泣いているので、退屈なのだ。置いたところで、特別何か変わるわけでもないと思って、使えるものをローテーション組んで置いてみたのだ。

結果は、本が売れるわけでは無いけど、ちょこちょこ足を止めて、触っていくひとが出てきた。普通は冷やかしというのだろうが、こういったことをきっかけに、知らない人と話が出来るのは面白い。時々、二回りくらい違いそうな昔からのSFファンのお方が、会誌を和文タイプで打った苦労話や、学生時代英文をタイプしていたなんて話を利かせてもらえたりする。そういう話は結構楽しい。

なんやかんやで、これからも続けられそうな趣味である。このブログもTypewriter Dandyというタイトルのごとくタイプライターに特化したブロマガにしようかと考えたのだが、一介のペーペーが、語れるネタなどほとんどなく、テケトーにそこらでひろったネタや思ったこと記事にするブロマガと化している。

今年も、いくつかタイプライターについての記事を書こうと思っている。いいネタが見つかるといいのだが……。

最後にタイプライターの紹介をして終わりにしよう。


Olivetti lettera 32 (1963)
名機Olivetti lettera 22の後継機種。
ブルーグレイのボディは派手ではないが、癖のないデザインで学生、ジャーナリストなどから愛用された。デザインも、昔ながらのフォルムを生かしつつ、モダンに仕上げている。世界で一番売れたポータブル・タイプライターと言われている。デザインはマルチェロ・ニッツオーリ。

このタイプライター基本的な機能を備えつつ、オークションで三〇〇〇円くらい出せば程度の良いものが買えるので初心者にはオススメである。インクリボンもネットで購入できるので安心。