オーディオブック作ってみました&コミケ告知

The Smoke一話目のプレリュード・アンド・ノクターンズ、オーディオブック化してみました。今回は伊藤あらせさんとTomboさんのお二方にそれぞれ朗読していただきました。圧縮の関係上時間が無いのでニコ動の方には後日UP予定です(申し訳ない)。
なので先にYoutubeのアドを

https://www.youtube.com/watch?v=78o_6ae3N_U
(朗読:伊藤あらせ こえ部 twitter: @zassyu14)

https://www.youtube.com/watch?v=2BPvGRnn5no
(朗読:Tombo twitter: @tombo76766899

創作同人というフィールドの方が自分は、単純に商業をめざすよりもひとりの物書きとして、やりたい表現や面白い事が出来ると思っているので、その一環で今回は試しにやってみましたが、何かをするって結構大変だよねということを再確認させられましたね。

明日はコミケです。既刊と共に無料頒布のコピー誌「The Smoke予告編」を持っていきます。そんなに用意していないので無くなったらごめんなさい(文章系サークルなので奇跡でも起こらない限り余るはず)。Episode 1 and 2の二話入りです。二話目は今回が初出となります。ギリギリで作っているので、後々手直しが入るかもしれないので……そこん所ご容赦ください。まあプロトタイプ的なもんだと思っておいてください。

つうことで、二話目、一章分だけ先行公開。

1.
男の目には恐怖が浮かんでいた。体は地面に転がされ、縄で縛られ、動くことはできない。口にはコンクリートブロックの破片が詰め込まれ、縄で猿轡をされた口の中で砕けたコンクリート片が欠けた歯と共に、口の端から血の混じる唾液と共にこぼれ落ちていた。

顔は殴られ、血や涙でぐしゃぐしゃになっていた。叫ぶどころか呻くことが精一杯という感じで、時々、喉に入るコンクリート片のせいか咳き込むような嗚咽が聞こえる。

彼にどんな感情が渦巻いているのかは誰も推測することはできない。

男が見つめる先には厚めの生地のパンティーストッキングを被り、その上からサングラスをかけている男が何も言わず経っていた。体格も大柄で、立っているだけで威圧感があった。

「どんな気分だ? 自分で死ぬことも許されず、どうすることもできない恐怖に追い詰められるのは」

縛られた男の目には、何かを訴えるような哀れな視線と共に、目じりから涙の筋が新しくあふれ出ていた。

「おい、おい、何泣いてんだよ……。今更後悔か? じゃあ、なんで、今まで自分のしてきたことに罪悪感と、自責の念にとらわれなかったんだい、ええ?」パンティーストッキングを被った男は、わざとらしそうにゆっくりとした口調でまるで子供を諭すような声でいった。

そして彼は持っていた長ドスの鞘をぬいた。

長い沈黙。

縛られた男は、何も言わず、だだ、目の前にある刃を見つめていた。顎が震えているのがわかる。

「後悔の念と一緒に苦しんで死ね」

その瞬間パンティーストッキングを被った男は持っていた長ドスを振るった。

血しぶき。

高級そうなダブルのチョークストライプのスーツは返り血に染まっていた。

切られた男は目を見開いて、有り得ないといったような表情をして事切れた。

動かないことを確認すると長ドスについた血を、スーツの内ポケットに入れてあった懐紙で拭う。

彼の名はヒロシ・マツモト。

元イタリア人。

ヤクザグループ『松本会』の会長でもある。

三十年程前にヤクザの娘に嫁いだ際、日本国籍を取ると同時に名前を日本風に変えた。生まれた時の名前のジョルジオ・ニッツォーリは特別なとき以外、もうほとんど名乗らなくなっていた。

彼の人生は変わった。全ては二十年前の大規模テロで妻を失ってから、彼は長ドスを携えパンティーストッキングを被り、妻を死に追いやったものたちに裁きを下すことに決めた。いつからか彼はその姿の為、こう呼ばれることになった。『パンティーホース(Pantyhose)』と。

彼の事を語るものは殆んどいない。彼の姿を見ることになる者は慈悲もなく殺される運命なのだから……。

愛した女はもういない、すべては復讐の為に。

サークルスペースは以下になります。

一日目8/15(金)
西館 う-18a


当日はよろしくお願いします。