トム・ハンクスがタイプライターにまつわる短編小説集を出す件

タイプライターネタも殆んどやってませんでしたが二日ほど前にニュースでトム・ハンクスがタイプライターにまつわる短編小説を出すことになったそうで、どんなお話になるのか楽しみです。

トム・ハンクスと言えば、有名人かつ生粋のタイプライターコレクターというかオタクということで、タイプライターの世界でも有名人。俳優としては良く知らないけれど、コレクターとしては個人的に尊敬してます。

とりあえず、先ほど短編の載っているアマゾンでThe New Yoker の2014年10月27日号をポチってきました(英語あんまり読めないけど)。

 短編の一つはThe New Yokerのホームページにも掲載されて、本文と共に本人が吹き込んだオーディオブック(!)も掲載されています。こういう時、俳優はうらやましいね。

 つまり、こういう計算式になる トム・ハンクス+タイプライター=本 ワァオ!


タイプライターと本という自分の好きなものダブルパンチは嬉しいです。タイプライター好きは、読むしかないでしょう。でも、邦訳は出るのだろうか? というか出てほしい。ただ版権料が高いと思うので、日本で販売してもペイできるのかっていうのはありますよね。

The New Yokerというのはアメリカで有名な文芸誌でいわゆる高級誌のカテゴリの文芸誌、見た目もこじゃれてます。独特な癖のある雑誌ではあるのですが、アメリカ文学の中でかなり権威がある雑誌の一つです。(日本の作家では、村上春樹大江健三郎小川洋子などが掲載されたことがある)まあ、トムが有名人であるということもあって掲載されたというのもあるだろうけれど、それでも雑誌の品位を保つ作品である事が求められるはずだ。

まあ、彼自体が脚本もやっているし、タイプライター使いである故それなりの筆力はあるのだろう、ハリウッド仕込みの物語の構造、構成なんかは応用は可能だろうし。

でも、その裏には、やり手の出版エージェントと編集者もいそうな気がする。それは推測の域は出ないが……。

そして、同時に短編集の出版も決まったそうで、本にするのは文芸大手のハードカバー出版社*Knopf。文学系が得意な硬派なレーベル。出版社の方も売れると判断したのだろう。
(注:米・英ではハードカバー出版社とペーパーバック出版社というように版型や装丁によって出版社が分れていた。出版社の吸収合併などで昔ほど縛りはきつくは無くなったが名残は今でも、日本と違って出版権などもハードカバー、ペーパーバックと別れていたりする。尚、現在のKnopfはランダムハウス傘下のインプリントつまり出版レーベル。村上春樹のハードカバー版をだしてるのもここ)

アメリカじゃ300ページから400ページ位の分厚い本が好まれるので、有名作家でもないかぎりあまり短編は売れない傾向があるのに、まあ珍しい。あっちじゃ短編集でも15~20作品くらいぶち込む傾向だから、どうなることやら。200ページ位の薄目の本に仕上げるのか、そういう所も気になるところ。

knopfのデザイナーは、魅力的な本をデザインしてくれるので、ちょっとアヴァンギャルドな時もあるけど、今から楽しみです。それと共にknopfのデザイナーは本文をどういう書体で組んでくるのかも楽しみではあります。


knopfの本は巻末にNote on the Type(使用書体紹介)というのがあって、書体解説してくれていて、デザイナーが本文にどの書体を使ったか説明がある。こういうのを見るだけでも、どういう意図で本を作ったかがわかるので、本文読めなかったとしても、個人的には満足しちゃいます。

今から凄い楽しみ。