パンナ・コッタはどこへ消えた?

バブル期に流行ったデザート(私は甘味をスイーツというのは品のない感じがしていまだに抵抗感がある)でナタ・デ・ココとティラミスは、そこらのコンビニで買えるレベルには生き残っている。とりあえず、久しぶりに食べてみようか、と思えば食べられる。しかしパンナ・コッタは全然生き残っていない。無論シャレオツなイタリア料理屋にいけばまだ食べられるのだろうが、一般人が普通にそこらで買い求められるものではなくなった。自分が最後に食べたのは九十年代前半から中盤にかけてで小学校低学年の頃だと思う。

パンナ・コッタとはいかなるデザートかといえばPanna cotta(伊語:煮た生クリーム)の文字のごとく。生クリームと牛乳、砂糖を火にかけゼラチンで固めたモノ。簡単に言ってしまえば『生クリームのババロアババロアも今は殆ど聞かなくなってしまった!)・ラム酒風味のカラメルシロップがけ』といったところか?

当時はトレンディなイタリアンデザートだったのである。その頃の日本人は主体性なんて無くて、共産主義者もびっくりなくらい、みんな右向け右に流行を追いかけ、みんなと同じであることが大切で、ブームとなると骨の髄までしゃぶりつくしてしまうような時代だった。新しいものを皆で追いかけるのが最上の価値だったのである。今思えば狂っているとしか言いようがないくらい同調圧力がやばかった。

話を戻そう。バブル期に流行ったデザートで唯一、パンナ・コッタだけ無視されたかのように忘れられてはないだろうか? クレーム・ブリュレも、ティラミスもナタ・デ・ココなら、すぐに見つかるのに、パンナ・コッタだけは探さないと見つからない。いったいパンナ・コッタに何が起こったというのだろうか? と言うかパンナ・コッタってどんな味だったっけ?
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といいつつも、こんな記事を書いていて恐縮だが、わたしもバブル期はまだ子供だったので、あの時代の享楽を間接的に体験しているだけである。ナウでヤングでトレンディな時代は子供には遙かに遠いものだった。