創作の話

一応これでも創作同人屋の端くれではある。だから色々思うことはある。

結局のところ、読者のためには書いているんだけど、それ以上に自分の表現も大切にしたい。もちろん意見は素直に聞いて、反映させられるところはさせる。ただ読者に寄りすぎても、作者のひとりよがりをやるのもどちらも宜しくはないというのは自分なりに理解はしているつもりではある。

ただ、創作を続けているということはそれなりに自己顕示欲もあるわけで、本を読んでもらいたいし、買ってもらいたい。さすがに同人サークルとしては印刷費をドブに捨てるんじゃなくて、取り返したいというのが本音なわけさ。やっぱりさ。

この間、一緒に食事した高柳総一朗さん(彼は必殺断罪人という、ファンタジー世界を舞台に必殺シリーズをオマージュした作品を作っている)とお話した時も、そんな話になって、読者は作者の名前をあまり見ないねとか、読まれたからって次作につながるとは限らないねとか、俺達は商業目指しても、なんというかライトノベルのジャンルとしてはかなり特殊過ぎて、商業で出せないよね。HAHAHA!! 的な話をしたばかり(両方とも自分の経験だから生々しかった)。

俺自身は、90年代から2000年代初頭にかけての多感な十代の時期にシナリオ重視のKeyの『Kanon』や『AIR』に代表される泣きゲや、同人でブームが巻き起こった『月姫』やらを直にやって、おまけに当時はTRPG系のファンタジーブームが終焉、一昔前のブームである学園異能+萌えラブコメがでてくるまでつかの間の混乱期で、ラノベ界は何でもありだった時代だった。おかげで物語の力をこれでもかと目の前で見せつけられたせいもあり、そういったものにダイレクトに影響されることになったわけで、当時としては最先端で、どれもこれも当時のテンプレから逸脱したファッキンクールなオリジナリティ高いものだったわけさ。

そういう奴が、向かうとしたら流行の後追いじゃなくて自分らしい独自性の高い創作方面に向かうのは自明の理というか何というかって感じなわけで。おまけに、それぞれの作家が影響を受けた先行作品とか語ってくれてたおかげで、文学、エンタメ、ジャンルを問わず体系的な読書もできたわけでそういう意味では運には恵まれたのかもしれない。

俺もあんなガツンとくる衝撃の作品を作りたいという気持ちを燻らせながら火がつくのを待っている。というか、そうでありたいなと思う今日この頃。